「踏鞴を踏む」「地団駄を踏む」「二の足を踏む」etc…慣用句って「踏む」だらけ。
あなたはそんなこと思った事ありませんか?
同じ「踏む」なのだから、みんな似たような意味なんでしょう。なんて、思っていたら大間違い!
よく聞く言葉だけれど、正しい意味や使い方を間違っていたり、勘違いしている人が多いんです。
そこで今回は、「踏鞴を踏む」の正しい意味や使い方について紹介します!
「地団駄を踏む」や「二の足を踏む」など間違えやすい言葉も交えながら紹介しますので、一緒に見ていきましょう!
踏鞴を踏むの意味・読み方とは?
思いっきり走っていて急に「ストップ!」と声をかけられたり、前に誰かが飛び出して来たら…
止まろうしても勢いがあって、「おっとっと…」となってしまいますよね。
そんな状態を表した言葉が「踏鞴を踏む」です。
「踏鞴を踏む」とはある意味で非常に危険な事。
例えば、怪我をしたときによく「勢いがあまって〇〇した」っていいますよね。
これがまさに、踏鞴を踏んだ状態。
それでは、次にどうのようにしてこの言葉が出来たのか語源を見ていきましょう。
踏鞴を踏むの語源とは?
「踏鞴を踏む」に使われている「踏鞴」は「蹈鞴 (たたら)」とも書きます。
同じ読み・同じ意味で同じものを示しています。
踏鞴は古事記に出てくる金属の精錬(鉱石から不純物を取り除き金属を取り出す作業)や加工の際に、必要な空気を送り込む木製で大型の足踏みの鞴(ふいご 送風機)の事です。
映画「もののけ姫」でエボシ御前の踏鞴場(たたらば)で、枠組みから下げられた紐を握った女性が歌いながら交互に踏んでいたあれです。
実は、「踏鞴」を踏むにはかなりの力が必要!
当然大きな力をかけるために、身振りも大きくなります。
その様子が勢い余って、空足をふんでいる姿に似ているから そう言われるようになりました。
ちなみに、先ほど出て来た踏鞴場とは精錬場の事で、働き手を踏鞴師(たたらし)と呼びます。
踏鞴を踏むの使い方・例文!
「踏鞴をふむ」の意味や語源が分かったところで、一緒に例文を作っていきましょう。
今回は間違えやすい言葉を使った例文も交えて紹介していきますね。
- 意味①を使った例文
- 昔、精錬所では踏鞴を踏むことが不可欠であった。
- 踏鞴を踏む原理を利用したものに足踏みオルガンがある。
- 意味②③を使った例文
- 階段をおり損なって、踏鞴を踏んでしまった。
- 踏鞴を踏んで一瞬、持ちこたえたように見えたがやっぱり転んでしまった。
- 踏鞴を踏むようなことになったせいで、足首を捻挫してしまった。
- 間違いやすい言葉を使った例文
- 決勝戦敗退。チームメイト全員が踏鞴を踏んで悔しがった。(「地団駄を踏む」の間違い)
- これは辛そうだ!と見た目で判断してしまい踏鞴をふんだ。(I「二の足を踏む」の間違い)
- あの場面では先輩が失敗したのを聞いていたのに、同じ踏鞴をふんでしまった。(「轍を踏む」の間違い)
間違った例文は、ついうっかり使ってしまいそうなものばかりですよね。
でも、意味や語源の使い方を一緒に見てきたあなたなら大丈夫。
正しい使い方、きっと出来ますよ(*^-^*)
まとめ
間違いやすい言葉が出てきたので、その言葉の意味を簡単に説明しましょう。
- 地団駄(じだんだ)を踏む・・・腹が立ったり・悔しかったりという強いストレスから激しく地面を踏んだり蹴ったりする事。「地団駄」の語源も踏鞴からきている。
- 二の足をふむ…尻込みをする。ためらう。
- 轍(てつ)を踏む・・・前任者と失敗を繰り返す。「同じ轍をふむ」ともいう。轍とは轍(わだち)のこと。
例文では、ネガティブな使い方をする「踏む」ばかりでした。
しかし、ちゃんとポジティブな使い方をする「踏む」もあるんですよ!
例文を使って、ご紹介しますね。
- 人前で堂々と話せる人は、「場数を踏んでいる」からです。
- たくさんの塩を踏んできているおじいちゃんの話はためになるね。
「場数をふむ」経験を積んで慣れる
「塩をふむ」世の中へ出て苦労をする
いかがでしたか?いろんなものを、踏んじゃいましたね(笑)
ご存じの通り、慣用句では比喩表現がとてもよく使われています。
同じ言葉で表していても、違うものを比喩している場合も多々あるんです。
今回お話した「踏鞴を踏む」と「地団駄を踏む」も同じ”踏鞴”を使った比喩表現ですが意味は全然違います。
そんな風に、同じ言葉で違う比喩表現をしている慣用句を探してみるのも面白そうですね。
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