「お母さん、手取り足取り教えてもらったら動きにくいと思わない?」
突然子どもが、私に聞いてきました。
「あぁ、今の子は丁寧に教えてもらうことを疎ましく思うんだ…」と思ったのですが、どうやら違ったみたい。
単語の意味を取り違えてしまうと、違う意味になってしまう。
そんな言葉って意外と多いものです。
今回は、そんな言葉のひとつ「手取り足取り」の紹介です。
どうして単語の意味と違う意味になったのか?
どうやってこの言葉を使うのか?
そんなことを合わせてお話していきますね。
では、まずは意味と読み方から見ていきましょう。
手取り足取りの意味・読み方!
「取る」という意味を、「持つ」という意味で考えてしまうと冒頭部分でのような勘違いになります。
この場合は、「教えたり、導いたりする。」という意味のほうで考えましょう。
手取り足取りの語源・由来とは?
「手取り足取り」に、語源らしい語源はありません。
そこで!
今回は、人にものを教えるときのことを考えてみましょう。
一緒に想像してみてくださいね。
保育園や幼稚園に行くか行かないか位の小さな子がいます。
字を書けるようになりたいのか、一生懸命に紙に文字らしきものを書いています。
そんな時、その子の後ろに回り、後ろから一緒に鉛筆やペンを持って書いてあげたりしますね。
書道教室や、習字の時間にも同じような覚えはありませんか?
「筆」という、不慣れなもので文字を書くときのぎこちない動き。
それを見た先生が「ここは軽く押さえる。」「はらうときはこんな感じで力を抜いていって。」なんて、後ろから一緒に筆を持って教えてくれましたね。
また泳ぎに関してもそうではないでしょうか。
「バタ足はこうやって、ひざを曲げないで。」「平泳ぎの足はこう。」なんて、プールサイドでスイミングスクールのコーチやお父さん・お母さんに教えてもらったという人も多いと思います。
言葉で教えるのではなく、「自分の手で、教える人の手を取りながら教える。自分の手で、教える人の足を取りながら教える。」状態です。
こんな様子から、「手取り足取り」という言葉が生まれた。そんな風に考えるととても分かりやすいですね。
そこから転じて、実際に手や足を取って教えるのではなくても丁寧に教えたり、世話をしたりするさまを「手取り足取り」と表現するようになったのでしょうね。
手とり足取りの使い方・例文
では「手とり足取り」を、実際使った例文を見ていきましょう。
「手取り足取り」教えてもらったおかげで、〇〇した。という使い方ですね。
次の例文では今までとちょっと違う使い方をしますよ。
注意の言葉として、「手取り足取り」を使っています。
職人さんの世界ではこんな会話が交わされていそうですね。
「手取り足取り」されることが、疎ましい。という使い方ですね。
ひとつ目の例文と相反する使い方をしています。
いつまでも干渉してくるのは認めてもらえていない証拠。そんな風に感じるのかもしれませんね。
と、このように「手取り足取り」を使います。
感謝を表したり、注意に使ったり。と使い道の多い言葉でしたね。
まとめ
いかがでしたか?
「手取り足取り」の意味や語源・使い方を見てきました。
「手」や「足」を使った、慣用句やことわざはとてもたくさんあります。
ここで、いくつか紹介しますね。
- 手が空く:仕事が一段落するなどして暇ができる。
- 手がかかる:手数を必要とする。世話がやける。
- 手が付けられない:施すべき手段・方法がないのこと。
- 手が入れば足も入る:一度気を許すと次々につけ込まれることのたとえ。
- 揚げ足を取る:人の言いまちがいや言葉じりをとらえて非難したり、からかったりする。
- 足がつく: 犯人の身元や逃亡者の行方がわかる。犯罪事実が明らかになる。
- 二の足を踏む:思い切れずに迷う。ためらう。
「手取り足取り」には、類語もあります。
- 懇切(こんせつ)丁寧:真心がこもっていて、細かいところまで気配りが行き届いている様子。
- 親身になる:こまやかな心づかいをすること。また、そのさま。
- 一から十まで教える: 何から何まで・始めから終わりまで全て教える。
実は、英語で表現する場合は「Please teach me from A to Z.」となり、類語である「一から十まで」と同じふうな表現になるんですよ。
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