「相手の足元をすくって勝利に導けて本当に良かったです!」
にこやかな笑顔で選手がインタビューを受けています。
「足をすくう」はスポーツの試合の後にコメントでよく使う言葉。
ニュースで流れているのをあなたも一度は耳にしたことがあるでしょう。
相手にミスをさせて勝利に導く…という意味だと思うのですが、確か「足元」ではなく「足」が正しい使い方だったような気がするのですが…。
使う機会があって間違えてしまったら、正しい言葉と意味を知らない人だと、自分の印象が悪くなってしまいます!
そうなる前に一緒に「足をすくう」の意味や使い方を一緒に見ていきましょう!
「足をすくう」の意味・読み方とは?
漢字で「掬う」と書きます。
ちなみに、「足をすくわれる」は別の慣用句に思われがちですが、「足をすくう」と同じ言葉。
「すくう」が受け身の形になるだけで、自分がミスをして失敗したことに対して使います。
辞書に記載されているのはどちらか片方だけが多いので、間違えそうになるのでご注意ください!
次は「足をすくう」の語源・由来をご紹介しますね。
足をすくうの語源とは?
今回は漢字の意味を調べてみます。
「掬(すくう)」には、両手で水などをすくいあげる動作のこと、事情などを推し量って理解することの2つの意味があります。
相手の心を読み取ってスキを突く…と想像してみると漢字で「掬う」と書くとしっくりときますね。
「相手の心を読み取ってスキをついて敗北させる」とはなんだか格闘技のイメージを感じます。
実は、柔道と相撲には、「掬い投げ」と呼ばれる技名がついているものがあります。
柔道も相撲も世界に誇る日本のスポーツ!
どちらも技の動作に違いはありますが、相手の懐に入って相手を投げる技です。
特に柔道は、相手の下半身を手で高くすくい上げることで、まるで足から半円を描くように倒れる動きをします。
「足をすくう」とは、まさにこんな動きを言うのですね!
まるで足が水を救い上げるような動作から「救い上げ」と名付けられたと思うと漢字の「掬」を当てはめると納得です。
足をすくうの使い方・例文
「足をすくう」を使った例文と使い方をご紹介します。
スポーツの場面で使うだけでなく、ライバル同士もしくは仕事の取引先の相手にも使います。
- フェイントを仕掛けるそぶりを見せた直後にシュートを放った。
私が相手の足をすくったのを見てチームの士気を上げることができた。
- 同級生のAが「勉強全然してないよ~!」と聞いたので自分も勉強をしないでいたら授業で小テストが出てきた。
授業の後にAの答案用紙を見たら満点を取っていた。Aから足をすくわれたと歯ぎしりをするしかなかった。
- 同僚のBはいつも人の足をすくうことばかりしている。
どうやってスキをついたのか、足をすくった後にどうなったのかを伝えると状況がより鮮明に伝わります。
「すくう」を受け身の「すくわれる」に変えた使い方ですね。
人の失敗を利用する人に対して表現します。
次に、英語での例文と使い方を紹介しますね。
trip(動詞)はつまずく、間違える、言い損なうという意味があります。
文型表現のtrip up ~(~が間違える、揚げ足を取る)を使ってみましょう。
- The interviewer tried to trip me up with his questions.(面接官は私に質問して揚げ足を取ろうと試みた。)
- He tried to trip me up.(彼は私の足をすくおうとした。)
まとめ
同義語には「弱点を突く」、「弱みに付け込む」、「不意打ちする」、「不意打ちを食らわす」などがあります。
どの言葉も相手のスキをついて相手を失敗させる、相手より優位になること。
ちなみに、本来は「足をすくう」が正しい言葉ですが、現代では多くの人が「足元をすくう」と間違って使っています。
文化庁が発表した平成19年度の「国語に関する世論調査」には「足をすくう」を使う人が16.7%に対し、「足元をすくう」を使う人が74.1%にも上ることが判明。
「足元」を辞書で調べてみると、立っている所、もしくは足の下部辺りのことを意味します。
立っている所をタックルされたらバランスが崩れて倒れてしまいますね?
ことわざの意味が「スキをついて失敗に追い込むこと」からバランスが崩れやすい足元と間違えるようになったみたいです。
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