うちの子どもは妖怪大好き!
先日、「妖怪のことを調べすぎて、最近ちょっと怖かった。でも今日は夕方でも帰り道が暗くなかったから、ぞっとしなかったよ。」
うん?「ぞっとしない」の使い方が間違えているような…。
多分「怖くなかった」「不気味な雰囲気じゃなかった」と言いたかったのでしょうが、残念ながら正しい使い方ではありません。
間違えたときこそ勉強のチャンス!
あなたも一緒に「ぞっとしない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
ぞっとしないの意味・読み方とは?
ちなみに、「ぞっと」は寒さや怖さから体が震えあがる様子をあらわす擬態語。
「ぞっと」を使って「怖いや恐ろしい」といった意味の「ぞっとする」という言葉があります。
「ぞっとする」の対語・否定形として「ぞっとしない」と用いられることがとても多いですね。
しかし、「ぞっとしない」の本来の意味は、「おもしろくない・感心しない・うれしくない ・好ましくない」。
怖くない・恐ろしくないといった意味で使っているのでしょうが、誤った使い方なので注意しましょう。
ぞっとしないの語源とは?
実は「ぞっと」にはもう一つの意味がありました。
江戸時代の末期頃まで使われていた意味で「強い感動が体を走り抜けるさま」です。
「ぞっと」に否定形の「しない」を付けることで、特別驚いたり感動していないことを表している「感心したりするほどではない」という言い回しが、現在の「感心しない・好ましくない」という意味になりました。
意味や語源を勉強しても、まだ「怖くない」「恐ろしくない」のほうが意味としてしっくりきてしまう「ぞっとしない」。
それもそのはず、平成28年度文化庁「国語に関する世論調査」によると、なんと日本人の約75パーセントが誤用している!という統計が出ています。
驚くべき結果ですね。
ぞっとしないの使い方・例文!
間違い多い言葉だからこそ、正しい使い方を例文を使って見てみましょう!
- 子どもが夜遅くまで外で遊んでいるのはぞっとしないなあ。
- お別れでもないのにプレゼントにハンカチを送るなんて、ぞっとしないからやめたほうがいいよ。
- この小説、「店長のおススメ!」なんてポップが貼ってあったけどぞっとしなかったよ。
- 前から思っていたんだけれど、きみの企画はいつもぞっとしないなあ。
- このあたりの店は、みんなぞっとしないから行く気にならないよ。
「ぞっとしない」の部分を”感心しない・おもしろくない・好ましくない”に置き換えて読んでみると…
ちゃんと意味が通じる文章になっていますね。
統計結果からみても、どんどん本来の意味として使われなくなっているこの慣用句ですが、誤用してもよいということではありません。
この機会にしっかりと覚えましょう!
まとめ
これだけ誤用の多い慣用句を学んだのも何かの縁です。
言い間違いや誤用の多い慣用句やことわざをご紹介しますね。
- 言い間違いが多いもの
- この案件は私じゃ手が負えないよ。(手に負えない)
- 彼は昔の事をいつまでも恩をきせてくるのでうざい。(恩にきせる)
- あれっと思い頭をかしげた。(首をかしげる)
- 彼は肝心なところは口を濁してばかりいる。(言葉を濁す)
- 気をつけないと足元をすくわれるよ。(足をすくう)
- 誤用が多いもの
- 感動して鳥肌が立つ。
- 事故にあったのに無傷とは悪運が強いね。
- 困っているからといって手助けばかりはいけないよ。情けは人のためならずっていうだろ。
- 彼女がおもむろに立ち上がったので驚いた。
- 今日はおしゃれしているね。馬子にも衣装とはこのことだ。
( )内が正しいものです。
(悪いこと・怖いことが起こったときにたつ鳥肌のことをいうので、感動ではこの鳥肌は立たない)
(悪いことをしてもその報いを受けないという意味。悪いことが起こった中で運が良いという意味ではない)
(情けをかけるのはその人のためでなく結局は自分のためだという意味。情けは人のためにならないという意味ではない)
(ゆっくりとという意味。突然や急にといった意味ではない)
(誰でも身なりさえよければ立派に見えるという意味。褒め言葉ではない)
いかがでしたか。
間違って使われている慣用句やことわざが結構あるものですね。
ご紹介したほかにも、たくさんあるので調べてみると、きっと面白いですよ。
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