「君は何にたいしても杞憂すぎるよ。もう少し気楽にやらないと疲れてしまうよ。」と部長に言われました。


杞憂


なんか聞いたことはあるし、何となく意味は知っているけれど正しい意味は分からない・・・。そんな言葉は意外に多いですよね。

ほとんど使われない言葉なら良いのですが、普段よく使う言葉なら間違えて覚えていると大変な失敗につながることも(;゚Д゚)!

「杞憂」もそんな言葉のひとつです。

そこで今回は、杞憂の意味や使い方、語源について紹介します!

では早速、意味と読み方のご紹介からスタートしましょう!



杞憂の意味・読み方!


「杞憂」「きゆう」と読みます。

意味は、「起こる事のないこと、必要のないことを心配すること。」です。



「杞憂に終わる」や「杞憂に過ぎない」という使い方をされているのを、耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。

しかし、「杞」も「憂」も見慣れない漢字ですね。どんな意味があるのか詳しく見てみましょう。


まずは「杞」です。

「くこ」というナス科の落葉低木の名前でもあるのですが、古代中国にあった国名でもあります。

殷代から戦国時代にかけて存在した国なのですが、小国だったせいか短命だったせいか、現在残されている史料などは非常に少ないそうです。

「憂」は「うれえる。心配する」という意味があります。

ふたつの意味をあわせると、「くこの木を心配する。」や「杞という国を心配する。」となったしまいまい、残念ながらどちらも「杞憂」の意味にはたどり着きません(・・?

では、この言葉は一体どうやって出来たのでしょうか?

語源を見てみましょう。


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杞憂の語源・由来とは?

「杞憂」の語源をたどって行くと古代中国に到着します。

慣用句やことわざは古代中国の文献・伝承に語源があるものが多いですね。

例えば、「矛盾」「虎の威を借る狐」なんかも、そのひとつなんですよ。


「杞憂」という言葉が出てくるのは、中国の道家の『列子・天瑞』という文献です。

残念ながら原文をそのまま書いても、ほぼわかりません(;´∀`)
ですから、今回は「杞憂」の語源となる部分を現代語に訳して紹介しますね。

むかし、「杞」の国の人々は心配で心配で仕方がないことがありそれを気にするあまり夜も眠ることも食を取る事もできませんでした。

その心配事というのは「天が落ちてくるのではないか?地が崩れるのではないか?」ということだったのです。

そんな、起こるはずもないことを本気で心配していたので、「杞」の国の人々の心配事とという意味で「杞人憂天(きじんゆうてん」いう四字熟語が生まれました。

そして、それを略して「杞憂」というようになったのです。



こちらが、「杞憂」の語源というわけなのです。

「杞」という国を心配するのではなく、「杞」という国の人がしていた無駄な心配のことだったんですね。

ここで間違えてはいけないのは、「杞憂」とは「無駄な心配」を指しているということです。

決して「心配する」=「杞憂」ではありません。したがって「杞憂だ。」というような使い方はしないということです。

しっかりと覚えておきましょうね。


「杞憂」がどんなときに使われる言葉かは理解できましたね。
と、なると次の目標は実際に使えるようなること!

次に正しい使い方を見てみましょう。


杞憂

杞憂の使い方・例文!

では早速、例文を見ていきましょう。

「今回の台風は大型で強い台風です。」と天気予報で連日伝えられている。避難時にすぐに持ち出せるよう非常持ち出し品の準備と確認をしておこう。

杞憂に終わればよいが、備えあれば憂いなしともいうからね



ひとつ目の使い方は、心配だけど「余計な心配に終わることを望んでいる。」使い方ですね。

最近どうも胃の調子が悪く、ずっと気になっていた。

ちょうどよい機会なので、健康診断を受けてみたところ何の異常もみつからず、僕の杞憂に終わりほっとした


今週末は旅行だから、雨が降らないかなぁ…とずっと気にしていたけど杞憂に終わってよかった

雨どころか、天気が良すぎて今度は日焼けの心配をしなけりゃいけないよ(*^-^*)



こちらのふたつは、「余計な心配に終わってよかった。」という使い方です。

「杞憂に終わる」ということは、心配していたことが起こらなかったということなので、良いことですね。


さぁ、次は間違った使い方の例文を見てもらいましょう。

娘が下校時間をとっくにすぎているのに、なかなか学校から帰ってこない。

最近は物騒だから、不審者に絡まれていないかなんて杞憂してしまう…



そうです、子どもが帰宅予定時間を過ぎているのに帰ってこないことを、杞憂と言っていますね。

こちらは「余計な心配」であるはずがありません。

こういう場合は、「不審者に絡まれていないかと考えてしまうが杞憂であってほしい…。」と、するのが正解ですね。

先ほども言いましたが、杞憂=心配と使うのは間違いです。

しかし、ついついやってしまう間違いであることは確かなので、気を付けるようにしましょうね。


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まとめ

いかがでしたか?「杞憂」の意味や語源・使い方を見てきました。

人は誰しも、色々なことを想像し心配してしまうものです。もちろんそのなかには「余計な心配」や「しなくてもよい心配」も含まれています。

よく言えば「用心深い」、悪く言えば「疑り深い」。それが人間なんでしょうね。

そして、それらは「杞憂」だけで表すことは不可能です。

そういうときには類語を使うのです。ほんの一例ですがご紹介しましょう。

  • 取り越し苦労:考えても分からないことに対してどうでもいい心配をすること
  • 懸念(けねん):気になって心から離れないこと、気がかり
  • 危惧(きぐ):うまくいかないのではないかと、あやぶむこと
  • 気に病む:心にかけて気をもむ。心配する。悩む。
  • 深読みする:物事の状況や人の言動の意味を、実際以上に深く解釈すること。憶測がすぎること。

などがあります。


お子さんが小さいご家庭だと、「杞憂」や「取り越し苦労」であってほしいし心配事がたくさんあります。

お仕事でももちろんそうでしょう。

しかし、何事も「度が過ぎる」と疲れてしまいます。かといって、楽観視しすぎるのも良くないこと。

うまくバランスを取ることが、大切なんでしょうね。

あなたも私も、楽しく・そして楽に過ごせるそのバランスを見るけられるときっと幸せな日々が送れるのではないでしょうか。


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