ふとテレビをつけるとドラマがやっていたんですが、そのなかに「後釜に座る自分の姿が、いとも簡単に想像される。」という台詞がありました。
後釜に座る?聞いたことはあっても意味を知らない言葉って結構あります。
そんな言葉を知らないままにするのはもったいないですね。
特に良く使う言葉ならなおさらです。
そこで今回は、「後釜に座る」の意味や使い方を詳しく紹介します!
後釜に座るの読み方と意味とは?
じつは、後釜には
- 前の人に代わってその地位につく人
- のちにできる妻、後妻のこと
2つの意味があります。
詳しく説明していきますね。
「前の人の地位につくこと」とは、ある地位や立場にいた人が辞めたりいなくなったときに、別の人が務めることをいいます。
上の立場の人がいなくなったら、誰かが後任者として仕事を受け継がなければいけませんからね。後継者といってもいいかもしれません。
「後釜に座る」というときには、こちらの意味で扱われることがほとんど。
後妻を受け入れる」は、家庭内での話ですね。
奥さんと離婚して、独り身である人が「後釜に座ってもらう」なんて使い方をします。
これは限られたシチュエーションでしか扱えないので、あまり馴染みがないかもしれません。
でも、「後釜」って一体なんでしょう?釜に関係があるのでしょうか?
語源についてみていこうと思います。
後釜に座るの語源は?
昔の暮らしでは、釜戸や炉を使っていました。
料理をするため、暖をとるため、お風呂を沸かすためなど、多くの用途があり、無くてはならないものです。
釜戸や炉には火をいれるのですが、その火は一度消すと再び点けるのに手間がかかります。
ですから、火を残したまま薪や炭を追加して、次の釜をかけていました。
現代のように電気やガスのように便利なものはありません。
残り火があるうちに作業を終えてしまうのは生活の知恵でしょう。
ですから、残り火のあるうちに適任者を選ぶ、ということでこの言葉が使われるようになりました。
ちなみに、座るという表現は、「地位」を表す言葉に「イス」「座」があるからで、連想から出来上がったのが「後釜に座る」なんですね。
語源には深い意味があったようです。
でも、これって良い意味でとらえていいのでしょうか?普段、使うことがあるのでしょうか?
次の章で使用例をみていきましょう。
後釜に座る使い方・例文!
結論からいいますと、悪いイメージでとらえられることが多く、あまり良いニュアンスで使われません。
実は、前任者を追い出して、その地位を奪うような意味を含んでいます。
新聞やメディアでも、こうした表現は避けられているようですよ。
いくつかの書から、例を挙げてみましょう。
- 「俺だけがクビになって、てめえは俺の後釜に座ってやがるんだろう。」(東野圭吾、『殺人の門』から引用)
- 「はやくも脳裏では、上将軍を倒して後釜に座った自分の栄光の姿が、ありありと映っているのかもしれない。」(吉野匠『レイン2 招かれざる帰還』から引用)
- 「以来、このビルは、懐かしい家の後釜に座った、ふてぶてしい顔をした建物にしか見えない。」(坂東眞砂子『蟲』から引用)
見て分かる通り、これは仕事を奪われた人の言葉です。
これは、上将軍を倒して、その立場を占領しようとしていることを表しています。
これは比喩ですが、決して良い意味で使われていないことが分かります。
懐かしい家がなくなって、そこに望んでいないビルが建ったことに対しての怒り、やるせなさが伝わりますね。
いくつか例を挙げました。この言葉に含まれる意味が分かったのではないでしょうか。
地位は大事なものですが、それを奪い合うというのはいかがなものでしょう。
でも現実は厳しいですからね…。
まとめ
基本的には「後釜に座る」ですが、「後釜に納まる」とか「後釜に据える」という言い回しもあります。
これらと同じ意味を持つ言葉はたくさんあるようです。
「とってかわる」「座を奪う」「駆け抜けを図る」どれも、前にいた人の地位につくことを表します。
「後釜に座る」じゃ英語でもそのような表現があることが分かりました。
- Take somebody’s place
- To take someone’s place
直訳すると、誰かの場所をとる、みたいなことですね。
「後釜に座る」使い方には注意して、生活のなかで役立ててくださいね(*^-^*)
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