会社の朝礼で司会から「これから、社長のメッセージを読み上げます。皆、襟を正して聞くように!」との言葉が。


襟を正す


「ん?ネクタイをしているから、襟はきちんとしているのになあ」なんて疑問に思いますよね。

慣用句には直接的な動作を表す表現でも、それを何かの場面に例えているということがあります。

では、この場合の「襟を正す」とは、どのような場面のことを言っているのでしょうか。

「襟を正す」の意味や語源に触れながら、見ていきたいと思います。



襟を正すの意味・読み方とは?


「襟を正す」は「えりをただす」と読みます。

意味は「自分の乱れた衣服や姿勢を整える」または「それまでの態度を改めて気持ちを引き締める」ということ。



身なりを整えるだけではなく、「真面目な気持ちで物事に対処する」という気持ちの面での意味もあるのですね。

「襟を正す」と似たような言葉を挙げるならば「姿勢を正す」「背筋を伸ばす」「ビシッとする」なども。

「素直に反省をする」「非を認める」も挙げられますが、この場合はどちらかというと「それまでの態度を改める」というイメージのほうに近い言葉です。

「襟を正す」を簡単に表すと「心も体も整える」ということでしょうか。


余談ですが、「襟を正す」には「きんをただす」という読み方もあるようです。

あまり見慣れない読み方かもしれませんが「開襟シャツ」という言葉でも「襟=きん」と見ることがありますよね。

また、「えり」には「衿」という漢字もありますが、こちらは常用漢字ではないので、一般的には「襟を正す=えりをただす」になります。


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襟を正すの語源とは?

「襟」は上着の襟のことを指すのですが、なぜ「襟を正す」という言葉は「気持ちを引き締める」という意味を持つようになったのでしょうか。

実は、「襟を正す」という言葉は「ある高名な人物から話を聞く際、その話に感動した役人が、自然と上着の襟を正し、座り直して話を聞いた」という昔の故事からきているとされています。

そこから「衣服の乱れを直す」ことが「気持ちを引きしめる」という意味で使われるようになったのですね。


目上の人や知識のある人の話を聞く場合、思わず背筋を伸ばしたり、今で言えばネクタイを締めなおしたりするときもあるのではないでしょうか。

昔の人もそういったことを考えていたのでしょうね^^

そこには、相手に失礼があってはいけないという気持ちも含まれていたのかもしれません。


襟を正す

襟を正すの使い方・例文!

ここまで「襟を正す」の意味や語源について見てきました。

ではいったん冒頭部の話に戻りますが、あのとき言った「襟を正して聞くように!」とは「(直接的な意味で)衣服の乱れを直す」だけではなく、「気持ちを引き締めて聞くように!」ということを伝えたかったのですね。

「耳を傾ける」という慣用句もありますが、それに近いイメージでしょうか。

もし仮に「襟を正して聞くように!」と言われて、自分の襟を直す素振りをしたら、司会から「馬鹿にしているのか!」と怒られていたかも(;´Д`)

慣用句の意味を取り違えてしまうと、相手に誤解を与えてしまい自分の評価を下げてしまう可能性…。


では、正しい使い方を理解するために、いくつか他の例文も見ていきましょう。

  • 友人が、急に神妙な顔つきで話を切り出したので、私は思わず襟を正した。
  • 疎遠になっていた恩師から手紙が届いたので、「何事か」と思い、襟を正した。
  • 同じようなミスが続いてしまったので、私は襟を正すことにした。



このような場面で「襟を正す」という言葉を見ることができます。

「それまでの態度を改めて気持ちを引き締める」という感情が見て取れますね。

例えば一番下の例では、仕事で同じようなミスが続いてしまった場合「襟を正さなくてはならない。」と、自分でも反省することもあるでしょうし、人から「もう少し襟を正すべきだ。」と言われることもあるでしょう。


ここで、英語の例文にも触れてみますね。

The president has warned us to shape up. (社長はわれわれに襟を正すよう警告した)

このように使います。

補足しますと、「president」は「社長」「 warn(ed)」は「警告する」という意味です。

また「shape up」は日常会話でも「シェイプアップ」として良く見かける言葉ですが、ここでは 「しっかりやる」という意味も含みます。

他にも「respectfully」(謹んで)「attentively」(注意深く)という単語を使って

  • listen respectfully(丁重に聞く)
  • listen attentively(注意して聞く)



これらも「襟を正す」という意味になります。


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まとめ

いかがでしたか。

「襟を正す」の意味や語源について見てきました。

「襟を正す」とは「衣服の乱れを直すこと」を指すのですが、そこから転じて「それまでの態度を改めて、気を引き締める」という意味を持つ慣用句だ、ということが理解できたと思います。

また、言い間違いにも注意が必要です。

「衣服の乱れを直すこと」からきている言葉だからといって、慣用句として「襟を直す」「襟を整える」と使ってしまいそうですが、この場合は間違った言い方となりますので、気をつけましょう。


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