「○○さんはこの春、野に下るそうです」
ふと耳に入ってきたこの言葉、突然言われたらなんて答えますか?
「野に?…下る?」そう不思議に思っても意味がわからなかったら「…そうなんですかぁ~」と誤魔化すしかありません。
実は、この言葉を使う場面は少ないですが、一社会人としては是非覚えておいてほしい言葉なんです!
今回は「野に下る」の意味や語源、使い方を解説していきますね!
野に下るの意味・読み方は?
先ほどの例文は「○○さんは官職を辞めるそうです」と言っていたんですね!
「だったら難しいことを言わないでそう言えばいいじゃないか!」と思ってしまいますよね。
しかし、この言葉にもちゃんとした意味がありますよ!
まず、語源を知ってこの言葉についてもう少し詳しくみていきましょう!
野に下るの語源とは?
「野に下る」の語源を解説していきますね!
はじめに、バラして考えていきましょう!
「野」(や)は、とてもたくさんの意味があります。
大きくわけると、
- ひろびろとした大地、放置されている地
- 野良、田畑の
- 官僚につかないこと、民間
- 品位が落ちること
が一般的な意味です。
「野(の)」と読む場合は、また別の意味がありますので注意してくださいね!
そして「下る」は、
- 高いところから低いところへと下る
- 下方へ向かって移動する、降りる
- 官僚を辞める、若しくは野党になる
の意味があります。
つまり、これらから「野に下る」は「官僚が仕事を辞めて民間人になる」という意味になるんです。
すでに「野」と「下る」だけでその意味が含まれているなんて驚きではないですか?
同じ意味の言葉で「下野する」(げやする)という言葉もあるのですが、これは漢文から来ているそうです。
「在野」(ざいや)なんて言葉もあり、これも公職につかず、民間にいること、若しくは野党の立場にいること。という意味があります。
「野党」にも「野」が使われており、「野」は民間や政権以外のことを指す言葉に多く登場していることがわかりますね。
「野に下る」というと私達が住む世界が「野」で、それより高いところから職務を終えて「下りてきた」というニュアンスなんですね。
では、実際に「野に下る」はどんな風に使うことが出来るのでしょうか?使い方を紹介したいと思います。
野に下るの使い方・例文!
「野に下る」の使い方・例文を紹介していきますね!
- 「長年の公職から野に下った父」
- 「任期を待たず野に下る決意を固めた」
このように「公職を辞める」ことを言い表すことが出来ますね!
どちらも民間になるといったニュアンスです。
なんだかこうしてみると公職と民間の上下関係が明らかで、民間が下に見られているイメージがすごく伝わってきますが…
昔からある言葉ですから致し方ないことなんでしょう。
今の時代にあった言い方が出来てもよさそうですよね。
それはさておき、次は「野に下る」の類義語にスポットを当てたいと思います!
さいごに
では「野に下る」の類義語を調べてみたのでここでいくつか紹介していきます!
「ざいや」とよみます。語源の章でも少し触れましたが、「公職につかず、民間にいること」という意味があります。
「朝廷についていること、官僚」という意味の「在朝」の反対語です。
「あまくだり」と読みます。一時期大問題になりましたよね!聞いたことがある人も多いかもしれません。
意味は「公務員が退職し、勤務していた行政機関と関係の深い一般企業などに幹部として再就職すること」です。
問題になった頃に一時天下りは減りましたが、その後また増加し、2016年の時点で問題発覚以前と同じくらいの天下りがあるそうですよ。
ちなみに「天下り」は「空から龍が降りてくる」様子が語源とされています。
ますます庶民との差を感じますよね…。
続いて、これは「しっきゃく」と読みます。意味は「地位の高い人が失敗したり、陥れられたりして地位や立場を失うこと」という意味があります。
よく政治の世界で使われることが多いですよ!
例えば「この度の汚職問題で○○氏は失脚した」などと言ったりします。
いかがでしたか?今日は「野に下る」の意味や語源について解説してきました!
官職の人達をいう言葉なので、私のような民間人が使うことは少ないです。
記事を読んでいても「国会議員や官僚」のイメージが強かったのではないでしょうか?
確かにそうではありますが、だからと言って知らないでおくのは勿体無い!
社会人ですから国や政治の言葉もしっかり知っておくと役に立つ日は必ず来ます。知識は無駄にはなりません。
その時、それを知らなかった周りの人と語彙力の差が生まれますからね!
今日これを読んだあなたはとてもラッキーです!
大人としてこんな言葉も頭に入れて、日々仕事に励んでいきましょう!
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