普段私たちは多くの音を聞きながら生活しています。
雨の音だったり、車の走る音だったり…。
これらの音は、あまり意識しなくても耳に入ってくる音です。
そんな中、TVから、昔の思い出が詰まった歌が聞こえてきたらどうしますか?
きっとその歌を注意深く聞こうとするではないでしょうか。
今回はそんな状況を表す言葉「耳を傾ける」について、意味や使い方などを見ていきたいと思います。
それでは、耳を傾けつつ一緒に見ていきましょう!
耳を傾けるの意味・読み方とは?
何かの音や話題に対して強く興味を持つというさまを表しています。
例えば「話に身を乗り出す」「関心を寄せる」などという言葉でも置き換えることができるでしょう。
「聞く」という動作はたびたび「聴く」という漢字で表されることもあります。
イメージとしては、あまり意識しないでも聞こえている場合は「聞く」という漢字。
何かを注意深く、集中して聞く場合は「聴く」という漢字を使うことになるでしょう。
また「聴く」という漢字を使った言葉に「傾聴する」がありますが、意味は「耳を傾ける」と同じで、何かに対して熱心に聞き取ろうとするということを表しています。
耳を傾けるの語源とは?
では、それぞれの単語の意味について見ていきましょう。
「耳」は文字どおり人体の耳を指していますし「傾ける」は「少し斜めにする」などといった場合に使います。
何かに対して注意深く聞きたいと思い必死に耳を近づけているような場面が想像できますね。
また、手を耳に添えて人の話を聞こうとする場面も思い描くことができるのではないでしょうか。
耳を傾けるの使い方・例文
「耳を傾ける」という言葉には「聞く」と「聴く」との違いが関係してきそうです。
実際に例を挙げてみますと、例えば会議の場でチャイムの音が聞こえてきてもなお、他の人の意見をじっくりと聞いていた場合。
「○○さんはチャイムの音が聞こえてきたけれど、他の人の意見に対して熱心に耳を傾けていた」という表現ができるでしょう。
また、仕事が休みの日に山登りへ出かけたとします。
ようやくたどり着いた頂上は景色も素晴らしく、さぞかし気持ちの良いものでありましょう。
しばらくその場で鳥たちが鳴いている状況を楽しんでいたら、急に遠くから雷の音がゴロゴロと。
このような場合は「○○さんは鳥たちの声にしばらく耳を傾けていたが、雷の音が聞こえてきたので急いで下山し始めた」という表現ができます。
音楽の場面でも同じように「○○さんは大好きな音楽に耳を傾けて過ごしていたが、電話が鳴ったのでしぶしぶ受話器を取った」など。
このように人の話や音について強い関心を持った場合に「耳を傾ける」という言葉は使われます。
ではここで英語の表現にも触れてみましょう。
- lend one’s ear to ~
- bend an ear to ~
このように使い「~に耳を傾ける」という意味を表しています。
「lend」は「貸す」「bend」は「曲げる、折る」という意味。
ですので、全体では「耳をそちらへ向ける」というような意味になることが理解できるかと思います。
昔、英語の授業でlistenは「注意して聞く」hearは「聞こえてくる」というように習った憶えがあります。
「耳を傾ける」はlistenと表すこともできるでしょう。
最後に「耳を傾ける」と同じような意味の慣用表現についてもご紹介しますね。
- 耳を貸す(人のいうことを聞く。また、相談にのる)
- 耳を澄ます(聞こうとして注意を集中する)
- 耳に入れる(聞いて知る)
これらも「耳を傾ける」とほぼ同じような意味となります。
厳密に言えば細かい使い分けが必要ですが、こうして見ていきますとやはり「耳」を使った慣用表現には「聞く」という言葉よりも「聴く」という言葉をイメージしたほうがしっくりくる場合が多いです。
まとめ
いかがでしたか。
「耳を傾ける」という言葉の意味や使い方などについて見てきました。
慣用表現は、実際の行動を何かの場合に例えて表現されることが多いです。
今回の例で言えば「耳をそちらのほうへ傾けてまでその音を聞き取ろうとする」という行為を表している言葉ということが理解できたのではないでしょうか。
また「聞く」と「聴く」の違いについて考えてみることで、よりこの言葉を理解することにも役立ちますね。
今回は「耳」に関するものでしたが、同じように「目」に関しても「見る」と「視る」の違いについて考えてみても面白いのではないかと思います。
日常生活やビジネスの場において、話すことも重要ですが聴くことも重要です。
人の話に「耳を傾ける」ことで新たな発見が生まれることもあるかもしれませんね。
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