「急いで物事を進めては失敗をする。」そんな意味を持つ言葉のひとつに「急がば回れ」があります。

よく聞く言葉なので、あなたも聞いたことがあると思います。


急がば回れ


聞き覚えはあるけれども、どのように出来た言葉なのかは分からない・・・。
そんな言葉って意外に多いですよね。

そこで今回は「急がば回れ」の正しい意味や語源・使い方を紹介します!

まずは、意味と読み方から詳しく見ていきましょうね。



急がば回れの意味・読み方!


「急がば回れ」「いそがばまわれ」と読みます。

意味は、「急いで物事をなしとげようとするときは、危険を含む近道を行くよりも、遠回りでも安全で確実な方を行くほうがかえって得策だということのたとえ。」です。



ここで注意点がひとつ!

「遠回りをする」=「ゆっくりする」「のんびりする」ではないということです。

急ぎすぎて失敗するよりも、「丁寧」で「確実」な方法を考えましょう。と、いう意味ですので勘違いしないようにしましょう。


それじゃあ、「急がば回れ」なんて言い方をせずに「急いでいても丁寧に」と言った方が手っ取り早いじゃない…
なんて、言いたくなってしまいますよね。

「急がば回れ」と表現をするようになった理由を次の章で見ていきましょう。


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急がば回れの語源・由来とは?

「急がば回れ」の語源は、室町時代に読まれた短歌にあります。

「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」
こちらが、語源となった短歌です。


「宗長」という歌人が詠んだ短歌なのですが、昔の言葉なので少しわかりにくいですね。

言葉を区切って見ていくことにしましょう。


まずは「もののふ」から。
漢字表記は「武士」となります。

漢字表記を見ただけで、意味までわかっちゃいましたね(笑)

そう、「もののふ」とは「武士(ぶし)」のことなんです。


次に「矢橋」と「瀬田」。

これは、どちらも地名です。

「矢橋の船」は「矢橋から出ている船」を、「瀬田の長橋」は「瀬田にかかっている長い橋」のことですね。

この「矢橋」や「瀬田」は琵琶湖の近くにある地名なのですが、どうしてこの地名がでてきたのでしょうか。

実は、この短歌は、武士が琵琶湖を渡って京都へ向かう道中を詠ったものだったのです。


武士に京都に行くなら、琵琶湖を横断している矢橋から出ている船の方が早く渡れる。

けれども、比延おろし(比延山からの風)に煽られて船が転覆するかもしれない。

そんな危険を冒すよりも、遠回りにはなるけれども瀬田にかかっている長い橋を渡ったほうが安全だ。
と、いう教えを詠った短歌なんです。



隠れている言葉が多いので、短歌の解釈はむつかしいですね。

そのせいもあって、この短歌の一部である「急がば回れ」の部分だけが教えとして残ったのです。

語源を知ったことで、意味をより深く知ることができました。

次の章では、使い方も見てみましょう。


急がば回れ

急がば回れの使い方・例文!

では早速、例文を使って「急がば回れ」の使い方を紹介しますね。

彼は工夫上手でなんでも手早くこなす。

でも、不慣れな僕が彼の真似をしてもきっと上手くは行かない。

ここは、急がば回れの精神でいつもやっている方法をとることにしたほうが良いだろう



人のまねを「危険な方法」、いつもやっている方法を「遠回りでも確実な方法」と判断している使い方の例ですね。

目的地が見えているからって、通ったことのない道なのに勘を頼りに通ってみることにした!

結局道に迷ってしまい、いつもの倍くらいの時間がかかってしまった。

急がば回れってまさにこのことだよ



近道をしようとしたけれど、結局は良くない結果になってしまった…こんな使い方は「道」だけでなく色々なことを例えることができる使い方ですね。

高校に入ってから、どうも数学でつまずいているんだよなぁ…

ここは、急がば回れってことで中学の数学から復習してみるか



土台を固めるためには、あえて遠回りをしてみる。物事を着実にこなしていくためには良い方法ですね。

と、このように「急がば回れ」を使います。

急いで結果を出したいけれど、急いではしまうとリスクが大きい。そんな場合に「急がば回れ」を使いましょう。


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まとめ

いかがでしたか?

「急がば回れ」の意味や語源・使い方を見てきました。

「急がば回れ」の類語には、こんなものがありますよ。

  • 急いては事を仕損じる:急いては事をし損じる急ぎ慌てて行うとやり損なう。落ち着いてやるべきということ。
  • 慌てる乞食は貰いが少ない:先を争って貰おうとすると、かえって貰いが少なくなるものである。急ぎすぎると、悪い結果を招くという戒め。
  • 短気は損気:短気を起こすと、結局は自分の損になるということ。
  • 走れば躓(つまず)く:ものごとは、慌てるほど失敗し易いものである。 急ぐときほど慎重に事に当たれということ。
  • 慌てる蟹は穴へ這入れぬ:あわてると、普段慣れている事でも、失敗するということ。

などがあります。


英語で表現すると、

  • More haste, less speed.(急いでいる時ほど、スピードを落とす)
  • Haste makes waste.(急かすことは結局無駄なことをすることになる)

となります。