ある朝ネットニュースを見ると、「大俳優○○さん死去」と大見出し。
記事を読んでいくとその方の経歴や代表作、功績などが書かれており、多くの人から哀悼と感謝の言葉の続く記事に人望の厚さを感じました。
とここまでは、よくある事なのですが、問題はこの記事を締めくくる言葉。
「押しも押されもしない大俳優の死に多くの人が涙した。」を読んだ時、あれ、「押しも押されぬ」が正しいんじゃなかった?
どっちが正しいんだっけ?
会社でもこのニュースで持ち切りになるはずだし、間違った言い方をしたら周りから揚げ足を取られてしまうかも…。
会社で恥をかかない為にも、【押しも押されもしない】を調べてみました!
今回は、押しも押されもしないの意味と使い方を紹介しますので、一緒に見ていきましょう!
押しも押されもしないの意味・読み方は?
確かに、冒頭の俳優さんも多くの人から実力を認められた方。
その方を表す慣用句としてぴったりな言葉ですね。
補説として文化庁が発表した平成24年度「国語に関する世論調査」では、本来の言い方とされる「押しも押されもせぬ」を使う人が41.5パーセント、本来の言い方ではない「押しも押されぬ」を使う人が48.3パーセントという逆転した結果が出ています。
この調査の結果を見ると多くの人が間違って使っていることに驚きました!
(そのうちの一人が私なわけですが…(;´Д`))
それだけ間違って使っている人が多い現代、正しく覚えておくと周りの人から「正しい言葉遣いをするできた人だ」と一目置かれるかもしれませんね。
押しも押されもしないの語源とは?
「押す」という漢字を調べてみると「上や後ろから力を加えること」、「無理に行うこと」、「取りおさえる」とあります。
力任せに無理やり動かそうとしたり、逆に動かないようにする時に使う漢字。
無理やり押しても押しつけられても動かない、実力があって堂々としている様からできた言葉ですね。
押しも押されもしないの使い方・例文とは?
では、どのようなときに【押しも押されもしない】と使えばいいのでしょうか?
スポーツ界や芸能界、政界など、一つの分野で大きな功績のある人を評価する言葉として使われることが多い言葉。
例えば、「押しも押されもせぬ名監督だ」、「押しも押されもしない大スター」など、新聞やニュースで一度は耳にしたことがあるかと思います。
芸能界で活躍している人は身近にいないから使う機会がない…なんて思う方もいるかもしれません。
しかし、例えば、今勤めている会社が起業する際に大きく貢献した社員を紹介する時に、
「わが社がここまで発展できたのも、押しも押されもせぬ技術者として彼がいたからだ。」
など、身近で大きく貢献してきた人に対して使っています。
ちなみに、英語で【押しも押されもしない】はどう言えばいいのでしょうか?
一つはacknowledged(アクノーレッジュ)。世間で認められた、という意味。
誰もが認めた実力があるという意味合いで使います。
例文で、
He was an acknowledged superstar.(彼は押しも押されもしない大スターだった。)
と使うとその人の実力を表現できます。
もう一つはestablished(エステーブィシュ)。設立する、確立する、という意味。
地位や名声が高い分野での実力者を評価する言葉です。
例えば、「政界の大立者」は英語にすると、
a political magnate of established reputation
となります。
押しも押されもしないのまとめ
最後に、類義語を紹介しますね。
「貫禄がある」「威厳がある」「風格のある」「品格がある」などなど。
どれも、その人物がどっしりとした立派で厳かな様子、という意味合いの言葉です。
今まで磨き続けた技術と長年の経験から動じない様子を表します。
類義語を使って表現するのもいいかもしれませんが、【押しも押されもしない】に含まれる意味合いは、多くのライバルたちと切磋琢磨しながら、実力のない者は去っていく厳しい世界にいた人物の強さと厳しさを感じます。
並大抵の覚悟や努力では決して多くの人から敬意を受けることがない世界で、多大な貢献をしてきた人物への最大級の慣用句なのかもしれません。
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