「さ」は「さんべん回ってタバコにしょ」
「と」は「年寄りの冷や水」
「し」は…「おかあさん何だった?」

一人で何かをブツブツ言っていた子供が突然大きな声で話しかけてきました。

私は何のことだかさっぱり??


知らぬが仏


今日、幼稚園でやった「かるた」の読み札を自分の名前の順番に思い出していたんだとか。

「さ」「と」「し」の中だったら、「し」が一番簡単だと思うんだけどな…

というわけで、今回は「し」の「知らぬが仏」の意味や語源・使い方を順に紹介していきます!

まずはじめに意味と読み方からです。

それでは、一緒にみていきましょう。



知らぬが仏の意味・読み方!


「知らぬが仏」「しらぬがほとけ」と読みます。

意味は

  • 知れば不快になるようなことでも、知らなければ仏さまのように平静に過ごせるということ。
  • 本人だけが知らないことを、周りが嘲(あざけ)ったり哀(あわ)れんだりしていう言葉。
  • 世の中には知らない方が良いこともある。
  • です。



    一つ目の意味には、知らない方が良いというのではなく知らないからこそ穏やかな心でいられる。知らないほうがいい。そんな意味が込められています。

    二つ目は、本来の意味が残念な方向へと転じてしまったものなのです。

    本来は知るべきなのに、知らないからそんな平気な顔をしていられるんだ。というバカにした意味が込められています。

    仏さまを使ってバカにするなんて、何だかバチがあたってしまいそうですが…

    「知らぬが仏雀(すずめ)の涙」「知らぬが仏、知るが煩悩(ぼんのう)」や「知らぬが仏、言わぬが花」などと他の言葉とあわせて使われることもありますが意味は同じです。


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    知らぬが仏の語源・由来とは?

    「知らぬが仏」の語源のお話をしたいところですが、残念ながら語源ははっきりとしていません

    しかし江戸時代以後の文献で多く使用されていること、「江戸いろはかるた」の「し」で使われていることから江戸時代にうまれた言葉であることが推測できます。

    江戸時代の俳諧(はいかい)論書である「毛吹草(けふきぐさ)」の中に出てくる「ふみてもやゆきにしらぬか仏のざ」というのが、語源という説もあります。

    しかし、残念ながらこちらは文献の中で、最初に「知らぬが仏」という言葉が出てきたにすぎません。

    それよりも、「仏」という言葉が入っているということから仏教の真理である「知らないことがいけないわけではなく世の中全てのことを知る必要はない。本人が知らないほうが良い事・知る必要がないことが存在する。」のほうが語源として有力なのではないでしょうか。

    「仏の顔も三度まで」「地獄で仏に会ったよう」「馬の耳に念仏」など慣用句やことわざには「仏」という文字を含むものが数多くあります。

    むかしは今よりももっと、仏教が生活に密着していたのでしょう。


    知らぬが仏

    知らぬが仏の使い方・例文!

    さて、こちらの章では例文を使いながら「知らぬが仏」の使い方の確認をしていきましょう。

    彼女、実は先輩にいいように利用されているんです。

    彼女自身は「先輩が頼りにしてくれている!」とウキウキしているのですが…

    これって知らぬが仏、言わぬが花なのかな。

    彼女に真実を伝えるべきか、悩んでしまいます。


    今日はAスーパーの特売日。

    ママは〇〇が100円ですごく安かったの♪なんてウキウキと買い物から帰ってきた。

    けれど、それBスーパーのほうが安く売ってたよ。

    知らぬが仏。ウキウキ気分なんだからそっとしておこうっと。



    「知らぬが仏」はどの意味で使ったとしても、本人は気が付いていないことをあらわす言葉です。

    ということは、本人に対して使う言葉ではないということですね。

    けっして、「それって知らぬが仏だったよなぁ。」なんていう具合に、本人に言わないこと。

    相手に失礼にあたりますし、あなたはきっとすごくイヤな奴になってしまいますよ。


    ところで、あなたは「鶴の恩返し」というむかし話をご存じですか?

    貧しいけれど心優しいおじいさんが、ワナにかかっていた鶴を助けたところ、鶴が人間の娘の姿になって恩返しにやってきた。

    というお話でしたよね。

    このお話の結末は、「のぞかないで」と言われていたはた織り中の部屋をのぞき娘の正体が鶴だと知ってしまいます。

    正体を知られた鶴は、おじいさん・おばあさんとお別れすることとなります。

    おじいさんが、部屋をのぞかなければ・娘の正体に気が付かなければ、三人で幸せに暮らしていたかもしれない…

    正体を知らずにいれば…

    この結末、「知らぬが仏」がピッタリ合いますね!

    「鶴の恩返し」以外にも、日本の伝説・むかし話のなかには、「見てはいけないものを見てしまった」「知らなければよかった」なんていうストーリーや結末のものが数多くあるんですよ。


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    まとめ

    いかがでしたか。

    「知らぬが仏」の意味や語源・使い方をご紹介してきました。

    せっかくの機会ですので、「知らぬが仏」の同義語もいくつかご紹介しましょう。

    • 聞くは気の毒、見るは目の毒
    • 知れば気を病むようなことでも知らなければ平静でいられるということ。

    • 人生字を識(し)るは憂患(ゆうかん)の始め
    • 勉強して世の中のいろいろな事を知るようになるとその知り得た知識が、心配や悩みの元になる

    • 世間知らずの高枕
    • 世間を知らないと何の苦労もしないので安心して眠れる。何も知らない人はのんきでいいね。という皮肉。



    英語でもそっくりな意味のことわざがあるんでご紹介しますね。

    • Ignorance is bliss.(知らないということは至福である。)
    • 他にも

    • What you don’t know won’t hurt you.
    • (あなたが知らないことはあなたを傷つけもしない

    • Not knowing the truth is sometimes better.
    • (真実を知らない方が時には良いこともある)

    なんて表現方法もあります。


    世の中知らないことのほうが幸せなのでしょうか?

    そうとばかりは言えません。知っていたほうが良い、ということもありますよね。

    それを教えてくれることわざもありますのでご紹介しましょう。

    • 知は力なり
    • 16世紀~17世紀にかけて活躍したイギリスの哲学者フランシス・ベーコンの言葉。英語表記では「Knowledge is power」となり、知識は力になるという意味。

    • 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
    • 聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥とは、知らないことはどんどん質問するべきだということ。



    知らなければ、知らないでうまくすごせていたのに、知ってしまったがためにイヤな思いや苦しい思いをすることがある。

    知らなかったがために恥をかくことになる…

    知らなければいい事も生きていく中で必要だと思いますが、知識として物事を知るのは大切なことです。

    慣用句やことわざの意味などは、知る必要のあるもののひとつですね。

    「あれ、どうだったかな?」「こんな雰囲気だった気がするけど…」なんて思ったときには、どんどん調べていきましょうね。


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