「彼女は所在なさそうに~」

先日、本を読んでいる時に、ふと気になった文章。


所在ない


耳にしたことがある言葉だけど、はっきりとした意味はわからない。

そんな言葉って結構ありますよね。

例えば、今回ご紹介する「所在ない」もそのひとつ。

きっかけはさまざまでも、「?」と思ったときが勉強時。

そこで今回は、所在ないの意味や語源・使い方を紹介します!



所在ないの意味・読み方とは?


「所在ない」「しょざいない」と読みます。

意味は、「する事がなくて退屈・暇・手持ち無沙汰」です。



「所在がない」や「所在なさげに」・「所在なげに」とも言われます。

ちなみに、「所在」の意味って確か居場所ではないのと、疑問に思ったあなた。

その疑問は次の章で解決しますから安心してくださいね。

それでは早速、語源の章へと進んでいきましょう。


スポンサーリンク


所在ないの語源とは?

「所在ない」に語源らしい語源はありません(;´∀`)

理由は、「所在」の意味がそのまま使われているからです。

ただ、スッキリしないのは先ほどの疑問点。

「所在」の意味は居場所・居所(いどころ)だけではないのです!

実は、行為・仕事・することといった意味もあります!

他にも、身分・地位といった意味もあるんですよ。


「所在ない」ではこの中の、行為・仕事・することだけが採用されているという訳ですね。

直訳すれば、「仕事がない」「することがない」です。

では、「仕事がない」状態はどんな状態か想像してみてください。

手持ち無沙汰な状態。

「することがない」状態は退屈ですよね。

というふうに、「退屈ですることがない」「手持ち無沙汰」と意味が転じていってしまったというわけなのです。

残念ながら「所在ない」では「居場所」・「居所」という意味のほうは不採用となってしまいました。

したがって「居場所がない」や「そこにいない」は間違いということになります。

「所在ない」を使うときには注意しましょうね。

言葉の意味の一部だけを採用する。日本語って本当に難しいとあらためて感じる言葉でした。


所在ない

所在ないの使い方・例文!

意味や語源がわかったとことで、実際に例文を作ってみましょう。

  • 所在ないので新聞を読んで時間をつぶした。
  • 休み時間、彼女はいつも教室の隅のほうで所在なげにすごしている。
  • 時間より早く到着してしまい、所在ないのをごまかすために、会場の回りをうろうろしていた。
  • 今日の社会見学は美術館だったので興味のない僕は所在なくぶらぶらしていた。
  • 雨で所在がなく、ゴロゴロとして一日を過ごした。

先ほども言いましたが

  • 満席で僕の所在がなかったよ。
  • 彼女は家出しているから所在ない。

という使い方は、誤った使い方ですので気をつけてくださいね。


ところで、あなたは「徒然草(つれづれぐさ)」の冒頭部分をご存知でしょうか?

「徒然なるままに日くらし 硯(すずり)に向かいて~」ですね。

この現代語訳は「することがなく何となく一日中 硯に向かって」となります。

つまりここからわかるのは、「所在がない」の古語は「徒然」ということです。


スポンサーリンク


まとめ

いかがでしたか?

例文を読めば読むほど暇そうな様子が目に浮かんできたんじゃないでしょうか。

「所在ない」は英語で表現できるのでしょうか?

「暇」は英語で”free time”ですが、「時間をもてあます」という意味の”bored”を使うほうがよいですね。

しかし、”bored”だけでは物足りない…

そこで、「することがない」という意味の”I have nothing to do ”を組み合わせてみました。

I’m bored because I have nothing to do.(私は何もすることがなくて時間をもてあましている。)

まさに、「所在ない」ですね。


こんな言い回しもどうでしょう?
I’m so bored to death.(僕は暇すぎて死にそうだ)

うんうん、「暇すぎて死ぬ!」確かに言いますね(笑)


日本語も負けてはいません。

退屈や暇な様子をあらわす慣用句やことわざは他にもたくさんあります。

例文を使いながらご紹介しますね。

  • 欠伸をかみ殺す(退屈さを我慢する)
  • 友達に誘われた映画だったが、欠伸(あくび)をかみ殺してばかりだった。

  • 閑古鳥がなく(暇そうで寂しい)
  • このお店は食事時でも閑古鳥(かんこどり)がないているなぁ。

  • 間が持てない(時間をもてあます)
  • 骨折で入院したが、間が持てなくて仕方がない。

  • 体が空く(暇ができる)
  • 今日、体が空くのは日付が変わるころになるだろう。

  • 暇をつぶす(空いている時間を何かに費やす)
  • 今日はマンガをよんで暇をつぶした。



逆に忙しさをあらわす慣用句やことわざもたくさんありますのでご紹介します。

  • 手がふさがる(何かをやっていて、これ以上他のことができない。)
  • 猫の手も借りたい(非常に忙しく手が足りない)
  • 目がまわる(非常に忙しい)
  • 盆と正月が一緒にきたよう(よいことで非常に忙しい)
  • 席の暖まる暇もない(ゆっくり座ることもできないくらいに忙しい)



暇すぎるのも忙しすぎるのも辛そうですね。

何事も適度が一番です。

あなたが所作がないときは、慣用句やことわざの勉強をしてみると面白い発見あるのでおススメですよ。


関連記事(一部広告含む)