「お母さん、今日国語の時間に”秋の日は釣瓶落とし”ってならったんだけど、妖怪のつるべ落としに関係してるの?」と、小学生の子供が聞いてきました。


釣瓶落とし


先生に聞くのは恥ずかしかったんだって(^-^;

せっかく疑問に思ったんなら、一緒に調べましょう。
勉強のチャンス到来!

と、いうことで今回は、釣瓶落としの意味や語源を紹介していきますね!

もちろん、妖怪の「つるべ落とし」との関係も出てきますよ^^



釣瓶落としの意味・読み方とは?


「釣瓶落とし」「つるべおとし」と読みます。

意味は、「まっすぐに素早く落ちること・急に落ちること」です。



「秋の日は釣瓶落とし」と使うことがほとんどで、秋の日の暮れやすさを表しています。

「あっという間に、真っ暗になってしまった!」なんて会話が飛び交うあの頃の時期ですね。

残念ながら、近畿地方や東海地方に伝わる巨大な首だけの妖怪「つるべ落とし」と一切関係ありません(笑)

もちろん、静岡県にある「つるべおとし滝」のことでもないので注意してくださいね。


スポンサーリンク


釣瓶落としの語源とは?

語源の説明の前に、道具である「釣瓶(つるべ)」に説明しますね。

「釣瓶」とは、井戸の水をくみ上げるための道具です。

まず、堅井戸(地面対して垂直に掘り地下水を汲み上げる様式の井戸)の上にやぐらなどを組みます。

そこにつけた滑車と紐(ひも)や縄が付けられた桶(おけ)を使って井戸の中の水を上まで汲み上げる仕組みです。

手押しポンプタイプの井戸には釣瓶は使われていませんので、昔話などにでてくるような井戸を想像してくださいね。

桶がカラになり、紐や縄から手を離せば桶が井戸の中にスルスルと素早く落ちていく仕組みになっています。

その落ちる様子を「釣瓶落とし」というのです。


慣用句やことわざは身近なもので比喩表現しているものが多くあります。

昔は井戸で水をくみ上げることが身近な作業だったので、こういった表現に使われたのですね。

実は、意味の章で出てきた妖怪の「つるべ落とし」も同じ語源からきているんですよ。

妖怪の「つるべ落とし」は木の上からドスンっと突然落ちてきて「夜業すんだか、釣瓶下ろそか、ぎいぎい」と人をからかったり、驚かしたりしていました。

時には食べてしまう場合も((( ;゚Д゚)))


1980年代のアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディングに登場しているアレです。

最近のものですと、ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」にも登場しています。

ミニサイズのつるべ落としが湯婆婆(ゆばあば)のペットにようなポジションで登場し、コミカルな印象でしたが実は恐ろしい妖怪だったんですね。

妖怪の「つるべ落とし」が木から落ちてくる際の様子と、井戸についている釣瓶を落とした時が同じ雰囲気であることからこの名前がついたのです。

恐ろしい妖怪と季語にもなるような風流な慣用句の語源が同じとは驚きです(;゚Д゚)!


釣瓶落とし

釣瓶落としの使い方・例文!

意味や語源がわかったところで例文を作ってみましょう。

  • さっきまで明るかったのにもう真っ暗だ。さすが、秋の日は釣瓶落としとはよく言ったものだ。
  • 釣瓶落としという言葉が出てくるという事は秋が深まった証拠だね。
  • 秋の日の釣瓶落としが見られるのも冬までのわずかな間だ。



いかがですか?例文をみて何か気が付かれましたか。

そうです「釣瓶落とし」はやっぱり「秋」とセットで使われていますね。

徒然草でも秋は夕暮れに趣(おもむき)があるといわれているくらいきれいな夕日、ゆっくりと堪能できないのは残念です。


スポンサーリンク


まとめ

慣用句やことわざの得意技である比喩表現をつかった「釣瓶落とし」。

英語で表現できるのでしょうか?

一緒に見ていきましょう。

sinking quickly という言葉もありますがこっちのほうがおすすめですよ。

The autumn sun sets as quickly as a buckets dropping into a well .

「buckets dropping into a well」 この部分が「釣瓶落とし」にあたります。

バケツの落ちる速さを夕日の沈む速さに例えているんですね。

まさに「秋の日は釣瓶落とし」です。 おどろくほど、ピッタリきますね!


もちろん、日本語でも似たような表現がありますのでご紹介しますね。

  • 瞬く(またたく)間に
  • すい星のごと
  • 急転直下

などがあります。

こちらのほうが、親しみやすいですね。


「釣瓶落とし」の他にも早さや勢いに関係する慣用句やことわざがありますので、例文を使いながらご紹介しましょう。

  • 歳をとればとるほど、「光陰矢のごとし」という言葉が身に染みてくるよ。
  • (月日がたつのは矢が飛んでいくように早い)

  • 彼の攻撃は疾風雷神そのものだ。
  • (行動が素早く激しい)

  • 彼の逃げ足は「脱兎のごとく」といっても過言ではない。
  • (とても早いたとえ)

  • あのチームの成長は「破竹の勢い」で留まるところをしらない。
  • (猛烈な勢い)

  • 中国雑技団の技は電光石火のようだ。
  • (行動が非常に素早い)



どの慣用句や俳句の表現が早いのか。順位を付けてみるもの楽しそうですね。


関連記事(一部広告含む)