「相手に頭を下げるのは、俺の沽券にかかわる問題だ!」
「沽券にかかわる」は「男の沽券にかかわる」がよく聞くフレーズ。
そのせいか意味は男性らしさをアピールしていると思っていたのですが、もしかしたら本来は違う意味で使う言葉だったのかもしれません。
そもそも「沽券」とは何の事なのでしょうか…。
会話の流れで知ったかぶって慣用句を言ったら、間違った使い方をしてしまい周りから呆れた顔をされた経験があなたにもありませんか?
今回は、沽券にかかわるの意味や使い方を紹介します!
沽券にかかわるの意味・読み方とは?
漢字では「沽券」と書きますが、估券と書き間違えることが多いので注意してください!
沽券にかかわるの語源とは?
かつて「沽券」とは、土地や建物などの売り渡し証文を指していました。
沽券を別の呼び方で売券(うりけん)や沽却状(こきゃくじょう)とも言います。
売券は現代でも使われている言葉なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
江戸時代には「沽券」は売値の意味で用いられるようになっていきます。
江戸の街では、正式な江戸の町人として認められているのは、町屋敷の所有者です。
そのため屋敷の売り渡し証文には、町人の身分(プライド)を象徴する物として大切にされました。
1802~09年に発行された十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも土地屋敷の売値という意味で「沽券」が登場してくるほど広く浸透していることがうかがえます。
さらに時代が進むと「沽券」には人の値打ち、品位、体面などの意味で使われるようになりました。
そこからプライドに関わることを「沽券にかかわる」と呼ぶようになっていったのです。
少なく見ても1800年以降には使われていると思うと、歴史を感じる慣用句ですね!
沽券にかかわるの使い方・例文!
「沽券にかかわる」の使い方と例文をご紹介します。
評判や品位、プライドが傷つくことを意味することから、何かを傷つくことに対して恐れているのかを説明しながら使います。
- 評判
- 品位
- プライド
「人気料理店のシェフにとって客足が遠のくことは、沽券にかかわることだ。」
評価や評判を大切にしている業種には客足が遠のく(評判が悪くなる)ことは大問題です。
評判が下がることは自分の技術が否定されていることをも印象付けます。
「母親にとって娘が礼儀作法をまったくできないことは、沽券にかかわるものだ。」
自分の品性、品位が傷つくことを恐れる場合に使います。
自分が品位を下げる行動をするか、相手から何かしらの行為を受けるか(受身)のどのパターンでも表現できます。
「男の沽券にかかわることは、断じてしない。」
プライドと面目を合わせた意味合いで使われます。
プライドを守るために何をしたのか、どんな行動をしたのかを表記するとより一層相手に伝わります。
次に英語での使い方と例文をご紹介します。
沽券と同じ意味の単語にはdignity、reputation、discreditがあります。
どの単語もwould(willの過去形)(~するだろう)を組み合わせて使います。
- dignity(名詞)(尊厳、威厳、気品、貴重さ)
- reputation(名詞)(評判、名声)
- discredit(動詞)(信用できない、信用を落とす)
文型表現で be beneath one’s dignity(体面を下げる、威厳を損ねる)です。
He would beneath one’s dignity.(彼は威厳を失うだろう。)
lose one’s reputation(評判を落とす、名声を失う)です。
He thought he would lose his reputation if he ran away at that point.(彼はここで退いては評判を落とすと思った。)
if(もし~をしたら)を共に組み合わせて使うとより表現が広がります。
If I borrowed money from a guy like him, I would discredit myself.(もし彼のような男からお金を借りたら、私は信用を失うだろう。)
文型表現にfall into discredit(評判を落とす、信用を失う)も使えます。
I fell into discredit myself if I borrowed money from him.(もし彼からお金を借りたら、私の信用が落ちるだろう。)
まとめ
いかがだったでしょうか。
同義語には「プライドに関わる」「信用問題だ」「信用にかかわる」「面目が立たない」などがあります。
「沽券にかかわる」の使い方のポイントは、
- 評判、プライドなどが傷つく前に使う言葉
- 具体的な行動がある
この2つをしっかりと捉えておくと、間違った使い方はしないで済みます。
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