「人の意見を聞かない人」を表す言葉のひとつに「馬耳東風」という言葉があります。
こんな意味の言葉を自分自身が言われたら、正直、気持ちのいいものではありませんよね。
では、どうして「人の意見を聞かない人」の事を「馬耳東風」と表現するのでしょうか?
よく耳にする言葉だけれど、どうしてそんな風に表現するのかわからない。
そんな言葉は、意外と多いものです。
今回はそんな言葉のひとつ「馬耳東風」の紹介です。
「嫌な気持ち」になってしまう言葉ですから、間違えて使ってしまったら大変!
そんなことにならないように意味や語源・使い方をしっかりと見ていきましょう。
馬耳東風の意味・読み方!
単純に「聞き流す」ということを表すのではありません。
「本人にとって大事な話であっても気にかけない」というもっとも質の悪い「聞き流す」を表す言葉なんですよ。
では「馬耳東風」は、どのようにして生まれてた言葉なのでしょうか?
次の章で、語源を見ていきましょう。
馬耳東風の語源・由来とは?
「馬耳東風」の語源は、まだ「唐」と呼ばれた時代の中国にあります。
詩人「李白」著書「答王十二寒夜独有懐」に書かれている詩が語源なんですよ。
語源となった、詩はこちら「吟詩作賦北窓裏、萬言不直一杯水。世人聞此皆掉頭、有如東風射馬耳。」です。
漢文なので、意味がわかりませんね。
現代語になおすと「北面の窓に寄りかかって、詩や賦(古代中国の文芸のひとつ)を作り多くの優れた言葉を並べてみても、一杯の水の価値もない。なぜかというと、世間の人々は詩や賦を聞いても理解できずに知らん顔をしているからだ。ちょうど馬の耳に東から吹く暖かい風が吹くのと同じように。」となります。
人は東から暖かい風が吹くと、季節の変わり目を感じ春の訪れを喜ぶものですよね。
しかし、馬はそんな風を「知ったこっちゃない」と感動するどころか知らん顔。全く気にかけません。
「ちょうど馬の耳に東から吹く暖かい風が吹くのと同じように」とこちらの一文は、そんな馬と同じだと言っているのです。
「春風を全く気にかけない馬のように、世間の人々は詩や賦を聞いても気にかけない。」と後半の文章の前後を入れ替えてみるとわかりやすくなりますね。
ここから、「人の意見や批評を全く気にかけないで聞き流すこと。」を「馬耳東風」というようになったのです。
馬耳東風の使い方・例文!
では、「馬耳東風」はどういったシーンで使うのが正しい使い方なのでしょうか?
例文を使いながら、見ていきましょう!
「うぁ…こんなふうに言われたくないなぁ…」というような内容の例文ばかりでしたね。
意味の章で紹介した通り、「本人にとって大事な話であっても気にかけない」という最も質の悪い「聞き流す」状態を表す言葉です。
言われないように気を付けたい言葉ですね。
まとめ
いかがでしたか?
「馬耳東風」の意味や語源・使い方を見てきました。
ここで「馬耳東風」の類語を紹介しますね。
驚くほど、た~くさんありますよ!
- 馬の耳に念仏:いくら意見をしても全く効き目のないことのたとえ。
- 蛙の面に水:どんな目にあわされてもいっこうに気にせず、平気でいることのたとえ。
- 猫に小判:価値が分からないものに貴重なものを与えても無駄なこと。何の役にも立たないこと。
- 豚に真珠・・・貴重なものも、価値のわからない者には無意味であることのたとえ。
- 犬に論語:どのように説いて聞かせても無駄なことのたとえ。
- 豚に念仏 猫に経:どんな立派なものでも、価値のわからない者にとっては、何の値打ちもないものであるというたとえ。
- 兎に祭文(さいもん):いくら意見をしても効き目がないことのたとえ。
- 牛に対して琴を弾ず:いくら高尚なことを説いて聞かせても、愚かな者にはなんの役にも立たないことのたとえ。
- 牛に説法馬に銭:意見や忠告などをしても何の効果もないことのたとえ。
- 犬に念仏猫に経:どんなに道理を説いて聞かせても効果がなく、無駄であることのたとえ。
- 豚に念仏猫に経:どんなに立派な教えも、それを理解できない者に言い聞かせたところで、何の意味もなさないという事。
- 豆腐に鎹(かすがい):いくら意見などしても一向に効き目がないことの意味。
- 糠に釘:何の効き目も手ごたえもないことのたとえ。
などですね。
ちなみに、英語では「talking to a wall(壁に話しているようだ)」で表現できますね。
日本では「馬」でしたが、英語では「壁」になっちゃいましたね。
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