「満を持する」という言葉があります。
例えば「満を持して登場する」などと使ったりするのですが、どのような意味があるのでしょう?
「満」とはなんのことなのか、「持する」とは…?何かを持ってくることなのでしょうか?
そんなことも含めて、満を持するの意味や語源、使い方を解説していきますね!
ではまず、意味からいきますよ!
満を持する意味・読み方は?
なるほど!ということは、先程の文章は「十分に準備をして登場するのを待ってた」という意味だったのでしょうか?
このニュアンスでいくとその、「登場する人」が使う言葉だという感じがしますね!
なんとなく意味はわかったけど、これだけではあまりピンと来ませんし、使い方まで良くわかりませんよね。
そんな時には、この「満を持する」の語源を知ってみると、もっとこの言葉について詳しくなれますよ!
なぜその様な意味があるのか、意外におもしろい歴史がある言葉なんです!
では早速解説していきますよ!
満を持するの語源とは?
「満を持する」いったいどんな語源があるのでしょう?
まず、「満」とは、「満ちる、いっぱいになること」という意味があります。
そして、「持する」は「手に持つ、有する」という意味です。
単純に考えると「いっぱい手に持つ」になってしまうのですが、これはちょっと違います。
話は昔の中国にさかのぼります。
由来は、「史記」の『李将軍列伝』という古い中国の歴史書です。
前漢(ぜんかん)の時代に司馬遷(しばせん)という人が書いたもので、前91年頃に完成したと言われています。
その中に「弓を引き絞ったまま待機する」という表現があります。
中国語だと「持満」と書くそうで、それが「満を持する」の由来になったと言われています。
この場合の「満」は「弓をいっぱいに引き絞ること」という意味で、「持する」は「その状態を保つ」という意味です。
例えば「持久戦」などにもこの字が使われていますよね。何かを維持する、ということです。
用意が出来たからとすぐに矢を射つのではなく、じっとその状態を保ち、手を放すだけの状態にします。
そして、弓から矢が自然と離れるのを待ちます。
つまり、人と弓が一体になる状態といえるでしょうか。一番ベストなタイミングを待つんですね。
このことから、その「弓をいっぱいに引き絞った状態で待機する」ことが、「十分に準備をして、その機会が訪れるのを待つ」と変換され、現在に至るわけです。
満を持するの使い方・例文!
では、実際に「満を持する」はどのような場面で使う言葉なのでしょう?
せっかくなので使い方の例文をいくつか紹介しますね!
- 「よし、満を持する挑戦だ!」
- 「満を持して新規開店する」
- 「満を持した結果、うまくいった」
3つの例文をあげてみました。
このように「何かに挑戦をする」際に使える言葉ですね。
1つ目と2つ目は十分に準備をして、これからある出来事に挑戦する様子。
3つ目は十分に準備をして、いい結果が出たという様子ですね。
このように、過去、現在、未来、と使い分けることも出来ます。
先程も少し触れましたが、「満を持する」は言葉の意味自体に「待機する、待つ」という意味がありますよね。
しかし、ここ最近では「十分に準備をする」という意味に重きを置いて使われることが多くなってきています。
もちろん正解は「十分に準備をしてその時を待つ」が本来の意味であります。
なので「満を持する挑戦」という言葉であれば、「十分に準備をして温めて、その時を待って実力を発揮する」という意味だと分かりやすいのではないでしょうか?
ただ単に「十分に準備をする」より、しっかりとその意味を知っていれば言葉の深みも感じられますし、正しい日本語を理解できている!とちょっと賢くなれた気がしますよね!
是非このように本来の意味で使ってみてください!
さいごに
最後に、「満を持する」の類義語を集めてみたのでここで紹介していきます!
- 「機が熟する」
- 「時が満ちる」
- 「満を引く」
「きがじゅくする」と読みます。「なにかの物事をするのにちょうどよい時期になる」という意味がある言葉です。
「改正の機が熟する」などと使うことが出来ますよ。
「ときがみちる」と読みます。意味は「物事をするのによい最高の状態になること」です。
使い方としては「時が満ちるまで、もう少し待とう」などと使うことが出来ますよ。
「まんをひく」と読みます。「弓をいっぱいに引き絞る、若しくは、杯にいっぱいに酒をついで飲む」という意味があります。
「満を持する」の由来とリンクするところがあり、似ていて間違いやすいので気を付けてくださいね!
いかがでしたか?今日は「満を持する」意味や語源について説明してきました!
日本語ですが、中国の歴史書が語源になっているとは驚きましたよね!
漢字は元々は中国から来たものなので、そういう語源の日本語は他にもたくさんあるのかもしれません。
「満を持する」ここぞ!という時に使える言葉だと思います。
その時が来たら、この記事を思い出して正しく使ってくださいね!
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