「お前もここへきてから半年か。そろそろ里心がついたんじゃねえか。」
「いいえ。まだまだ未熟ですから。そんなこと言ってられませんよ。」
師匠と、故郷を離れ修行に励む弟子との間で交わされた会話の一場面。
このような場面で「里心がつく」という言葉を見たこともあるのではないでしょうか。
「里心がつく」の意味はなんとなくイメージがつきそうですが、今回は里心がつくの意味や使い方についてもう少し掘り下げて見ていきたいと思います。
里心がつくの意味・読み方とは?
もう少し言うと「自分の家や故郷を懐かしく思い、帰りたいと思うさま」も表しています。
故郷から遠く離れた地へ修行に来た弟子に対して、「故郷が恋しいのでは?」と声をかけたのですね。
このような表現としては、他にも「望郷の念にかられる」という慣用句も挙げられます。
もう少し平たい言い方をすれば「ホームシックになる」という表現も。
「ホームシックになる」という表現は、日常生活の場においても比較的良く見る言葉でしょうか。
これらはどれも「遠く離れた場所で過ごしていたけれど、ふと故郷が恋しくなる」ということを表す場合に使う言葉ですね。
里心がつくの語源は?
では、もう少し詳しく「里心がつく」という言葉について見ていきましょう。
まずは、改めて「里心」という言葉を辞書で引いて見ます。
意味は「他家や他郷に出ている者が、実家や故郷を恋しく思う気持ち」ということ。
つまり、「里心がつく」とはそういった里心が自分の中についた、芽生えたということを表している言葉である、となります。
個人的には、「ホームシックになる」という表現よりも「里心がつく」や「望郷の念にかられる」という言葉のほうがカッコイイような感じがしますよね。
日本語には一つの感情を表す場合でも、いくつもの言葉が存在します。
状況に合わせて、それぞれを使い分けても良いでしょう。
ちなみに、「里心」と同じような意味で「帰心(きしん)」という言葉もあるようです。
「帰心」という言葉を見ただけでもなんとなくイメージは伝わってきそうですが、「帰りたいと願う心」という意味を表しています。
しかし、「帰心がつく」という表現はありませんので、注意してください。
里心がつくの使い方・例文!
では、「里心がつく」の使い方や例文について紹介したいと思います。
語源の章でも少し触れましたが、「故郷から遠く離れた地に居る人が、その人の故郷を恋しく思っている」場面で使われる言葉となります。
それを踏まえまして、例文をみてみましょう。
- TVから流れてきた故郷のニュースに、ふと「里心がついた」
- 雪のない地域に越してきたが、毎年この季節は雪を見るたびに「里心がつく」
- 里心がついた私は、普段滅多に書かないのだが、両親に手紙を書いてみることにした
このように使うことができます。
「里心がつく」瞬間というのは人によってさまざまでしょう。
夕日を見てなんだかせつない気持ちになったり、昔の写真に思いをはせてみたり…
なんだかしみじみしてしまいそうですが、そんな時に使う言葉です。
次に「里心がつく」を意味する英語の表現を見てみましょう。
be buffeted by homesickness
補足しますと「buffet(ed)」は「打つ、打ちのめす」という意味ですので、直訳すると「ホームシックによって打ちのめされた」ということになります。
また「get homesick」も「里心がつく」という言葉を表しています。
「ホームシック」という表現は日常の会話の中でも良く見かける言葉ですよね。
「homesickness」と「homesick」二つの単語が出てきましたが、英語の場合、「homesick」は形容詞、「homesickness」は名詞として使われるようです。
まとめ
いかがでしたか。
「里心がつく」の意味や使い方などについて触れてきました。
おさらいしますと、「里心」とは「故郷を懐かしむ気持ち」を表しており、そのような気持ちが出てくることを「里心がつく」で表している、ということがお分かりいただけたかと思います。
「ふるさと」という言葉を漢字で書く場合、「故郷」という漢字の他に「古里」と書くこともあります。
「里」という漢字は、「千里の道も一歩から」(どんなに大きなことを成し遂げようと、まずは着実に努力することが成功につながる)のように距離や長さを表す場合も。
しかし「里心がつく」で使われている「里」は「人や家が集まっている場所」という意味ですので、併せて覚えておきましょう。
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