この間、同僚とお互いの上司の話になった時の事です。
同僚から「あなたの上司は良いよね〜。先見の明があるから。取引先の人にも好かれてるし、アドバイスも的確だし!上司交換して!」と言われました。
上司は、相手が言う前にいろんなことに気付くタイプの人です。
仕事も大変やりやすい。そんな上司を渡すわけありません(笑)
まぁ、上司自慢は置いておいて。
「先見の明」の意味って、なんとなく先を見通せる力って感じがしますが、いまいち分かりませんね。
正しい意味を知らずに使って、恥をかくのも嫌なので、今回は「先見の明」について正しい意味や使い方を確認していきましょう!
先見の明の意味・読み方!
ちょっと日本語が難しいですね( ̄▽ ̄;)
もう少し分かりやすく説明すると、「見識(けんしき)」には、2つの意味があります。
- 物事を深く見通し、本質を捉える。優れた判断力。
- 気位。みえ。
先見の明の「見識」は、優れた判断力のことです。
そして、文字から想像できる通り、「先見」は前もって見抜けること。
以上のことから簡単にまとめると、「先見の明」は、前もって見抜ける判断力のことを言ってるんですね!
では、続いて語源を確認していきましょう。
先見の明の語源とは?
「先見の明」は、「後漢書」楊彪伝(ようひょうでん)の中で使われた言葉です。
楊彪伝の主人公である「楊彪(ようひょう)」は、中国後漢末期~三国時代(142年~225年)の政治家・学者。
楊彪は後漢(中国で栄えた王朝)の命運が尽きたと判断して、宮中に行かなくなりました。
楊彪の子どもが、曹操(後漢末期の武将、政治家)に仕えていましたが、曹操の不興を買って処刑されてしまいます。
その後、曹操が楊彪に面会を求めました。
楊彪はすごく痩せていたので、その理由を曹操が尋ねたところ…。
楊彪は、「金日磾(きんじつてい)のような先見の明が自分にはなかったことを恥じたからだ。老牛が子牛を舐めて愛おしむようなものだった」と答えます。
ここで出てきた金日磾とは、紀元前134年~紀元前86年ごろの政治家です。
金日磾の二人の子どもは武帝の寵童となりましたが、成長するに従い、女遊びが激しくなっていきました。
このままでは、自分の子どもが武帝に迷惑をかけると考えた金日磾は、自分で自分の子どもを殺します。
楊彪が言っていたのは、このことです。
「金日磾は、自分の子どもが後々迷惑をかけると分かり自ら手にかけたが、自分にはそれが出来なかったことを恥じた結果だ。ただただ、自分の子が愛おしかった。」と、曹操に伝えたんですね。
楊彪は、この将来のことを見抜ける判断力のことを「先見の明」と言い表しました。
いや~、いくら自分の子が迷惑をかけそうだから、自分で始末をつけるなんて…。
まさか、こんなことからできた言葉だとは思いませんでした…重い、重いよ…(;´Д`)
先見の明の使い方・例文!
楊彪が使った「先見の明」。言葉を使ったところは重い内容でしたが、「先見の明」は、「先まで見据えた判断力」でしたね。
では、「先見の明」を使った例文を見ながら、使い方を確認していきましょう。
いろんな嗅覚が鋭いっていうか、周りの様子から先のこと見据えて行動できる人ってすごく尊敬できますよね。
続いて、もう一つ例文を。
教授もいろいろな経験を重ねて、先見の明を身に着けたんだと思います。
先のことまで考えてアドバイスしてくれる…すごくいい教授ですね。
例文で使い方を学んだところで、先見の明の類義語も見ていきましょう。
- 察しがいい(さっしがいい):相手の言いたいことに気づく。推測して知る。
- 先行きを読む(さきいきをよむ):今後の成り行き・将来の見通しをよむ。
- 予見(よけん):物事が起こる前に先を見通して知ること。
- 一を聞いて十を知る(いちをきいてじゅうをしる):物事の一端だけを聞いて、全体を理解すること。非常に賢く理解力があることの例え。
どの言葉も、なにかが起こる前にそのことに気付くことを表していますね。
ちょっと先見の明だと堅苦しいときは、「察しがいい」や「先行きを読む」に言い換えると良いと思います。
まとめ
今回は「先見の明」について、意味や使い方を確認してきました。
楊彪伝に出てきた言葉で、「ことが起こる前に、それを見抜く鋭い判断力」という意味を持ちます。
何千年も前に中国で使われた言葉が、現在でも日本で使われているって、なかなかすごくないですか?
どんどん意味や読み方が変わっていったり、誤用の方が広まっていった言葉がある中で、変わらずに使われている「先見の明」。
「先見の明」を使う際は、何千年も前の人に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。
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