ことわざや慣用句は、日常生活で使う機会は多いです。
良く使われている言葉であれば、なんとなく意味は分かるのですが、あまり見慣れない言葉だと理解に苦しむこともありますよね。
今回、一緒に見ていくのが「抜き差しならない」という言葉。
一見どんな状況を指しているのか分かりづらいかもしれませんが、語源からこの言葉を理解していくと正しい場面で正しい使い方ができるようになりますよ!
正直私は、この言葉の正確な意味を知りませんでしたが、調べたら意外な使い方もできることを発見(;゚Д゚)!
まずは「抜き差しならない」の意味・読み方から始めましょう。
抜き差しならないの意味・読み方とは?
「膠着状態」や「埒(らち)のあかない」とも言い変えることができますね。
この言葉は他にも
- 回避できないくらい苦境にある
- もう取り返しのできないほど深い関係にある
という状況を表す時にも使われます。
前者の場合は「のっぴきならない」や「どうにもならない」、また最近見る言葉としては「詰んだ」なども挙げられますね。
後者の場合では「引っ込みがつかない」などという言葉でも置き換えることができます。
抜き差しならないの語源とは?
次に語源の解説に移りたいと思います。
意味を丸暗記するよりも語源を含めてその言葉を知ったほうが、より深い理解につながりますのでお付き合いください。
例えば時代劇の一場面。
目の前に何やらいちゃもんをつけられて、困っている人が居たとします。
その人を助けようと間に割って入ったはいいが、途端に周りから5、6人の仲間がぞろぞろと…。
争いは避けられそうにないので、刀の入っている鞘に手をかけようとしました。
実はこのような場面が「抜き差しならない」の語源となっています。
刀を鞘から抜いたり指したりすることですね。
この場合では刀を抜いたとしても大事になりますし、刀を指したままでも抵抗ができず簡単にはいかないよう…。
ですので「どうやったとしても上手くはいかない」状況を「抜き差しならない」という言葉で表されるようになりました!
ちなみに、単純に刀がさびてしまって鞘から抜くことも差すこともできない状況からきているという説もあります。
確かに刀がさびているとどうすることもできないですよね。
どちらにせよ鞘から「抜くことも差すこともできない」ことに由来する言葉だと言えます。
抜き差しならないの使い方・例文
「抜き差しならない」という言葉は「進むことも引くこともできずに、もうどうすることもできない」状況を表していましたね。
では、実際にこの言葉を使ってみましょう。
- わが社は「抜き差しならない」状況にある。
- あの失敗のせいで「抜き差しならない」状態に陥ってしまった。
などという使い方ができます。
どちらの場合も「身動きが取れないほど追い込まれている」状況、または「それに近いくらい緊迫した」状態であることが理解できるかと思います。
また、人間関係の意味を表す場合は「私たちは抜き差しならない関係でありますので、ここは協力をしましょう」などと使うことも。
ただし、あまり良い関係性ではないということには注意が必要です。
この場合は、何か別の思惑(分かりやすい例で言えば金銭)が絡んでいるような人間関係を指し示す言葉となってしまいます。
時代劇で例えるならば、ちょうど越後屋と悪だくみをたくらむ人との関係性であるイメージでしょうか。
ですので、仲の良い友人や知人に「私たちは抜き差しならない関係だよね」と言ってしまうと「そなたも悪よのう」という、あらぬ誤解を受けてしまいかねませんので、きちんと使い分けてくださいね^^
英語の表現にも触れておきましょう。
「be inextricably involved」「 be in a sticky situation」のように表します。
「inextricably」は「密接に」「involved」は「入り組んだ、関係のある」という意味。
「sticky」は「ねばねばする」「situation」は「状況」という意味ですね。
どちらの場合も「身動きが取れない」ほど「密接に関係している」ということを表しています。
まとめ
いかがでしたか。
「抜き差しならない」という言葉の意味や語源などについて見てきました。
「どちらの選択肢を選んだとしても事態が好転しない」状態や「どうにもならない」状況を表す言葉であること。
またこの言葉ができる背景には、鞘から刀を「抜き差し」することが関係していることが理解できたかと思います。
慣用句は言葉の意味について知ることももちろん重要ですが、その言葉が良い意味で使われているのか悪い意味で使われているのか理解することも重要となります。
良い表現として使っていたつもりでも、実は間違っていて相手に悪い印象を与えてしまい、あらぬ誤解を生んでしまうかもしれません。
正しい意味の理解や使い方を心がけましょう。
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