部活から帰ってきた途端に辞書を引っ張り出してきた娘。

何かを一心不乱に探しています。

いったい何事かと思い聞いてみると…
顧問の先生から「明日の試合相手は、ウチと五十歩百歩の力だ。気合い入れていくように。」と言われのだとか。


五十歩百歩


何か違和感があるなぁ…と思いながらも「はい!!」と返事をして帰ったそうです。

でも、「五十歩百歩」の正しい意味と使い方を調べずにはいられなかった様子(#^.^#)

というわけで、今回は「五十歩百歩」の意味や語源・使い方を紹介します。

まずは、意味から順を追って一緒にみていきましょう。



五十歩百歩の意味・読み方!


「五十歩百歩」「ごじっぽひゃっぽ」と読みます。

意味は

  • 多少のちがいはあっても中身や意味は何も変わらない。
  • どちらも大した違いはなく似たようなもの。

です。



「ごじゅっぽひゃっぽ」と思っていた人の方が多いと思いますが、「ごじっぽひゃっぽ」が正解なんです。

パソコンでもスマホでも、変換できるので無理もないのですよね。

そして、「どちらも劣っている」という隠れた意味がありますので、褒め言葉としては使えません。

さて、何で比べてもよいのにどうして「歩数」で比べることになったのでしょうか?

その疑問を解決するために、語源をみていくことにしましょう。


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五十歩百歩の語源・由来とは?

五十歩百歩の由来をたどっていくと中国へたどりつきます。

中国の南北朝時代(502年~557年)に梁(りょう)という国がありました。

梁の王である恵王(けいおう)には常々疑問に思っていたことがあり、ある日、孟子(もうし 有名な儒学者)に相談したのです。


(王)「わたしはいつも、国民のことを考えて民に優しいやり方で国を治めている。
なのに、この国に人が集まらないのはなぜなんだろうか?」

(孟)「恵王様は戦いが好きでいらっしゃるんので、戦いにたとえて説明いたしましょう。
戦いがはじまり、やがて不利になってしまった。
逃げ出すものが続出する中ある者は百歩逃げてとどまった。
別のものは五十歩逃げてとどまった。
五十歩逃げたものが百歩逃げたものをバカにして笑った場合、恵王はどう思われますか?」

(王)「五十歩だろうと百歩だろうと持ち場を捨てて敵から逃げたことには変わりはない。
同じことだ!」

(孟)「そう、それと同じことなんです。今は凶作が続いており民は皆 食べることに苦しんでおります。
他の国に比べでよい政治をしているかどうかというのは民にとっては、大差ないことなのです。」

と、このように戦いから逃げた歩数を例えに出した会話からうまれた故事成語なんです。

「五十」だの「百」だの逃げた歩数に意味はなく「逃げた」という結果が全て

つまり、苦しい思いをしている人々にとっては、よい政治をしていようがいまいが、今の「凶作による苦しみ」が変わる訳ではないので、政治うんぬんを比べるのははどうでもよい違いだ。

というお話があり、これが五十歩百歩の語源という訳です。



テストで50点と100点なら、かなり違いがあるんですけどね(´・_・`)


五十歩百歩

五十歩百歩の使い方・例文!

さあ、意味と語源を理解したところで次は使い方をみていきましょう。

今日は仲良しグループでバーベキュー。

9:00集合だったのに、遅刻者が数人。

何分遅れだ~ なんて言い合っているが、何分だろうが遅刻は遅刻。

反省するならともかく、五十歩百歩の言い争いなんていい加減やめようよ。


夏休みの半分は補習かぁ…

ボクは30点で補習だけど、10点しかとれなかったアイツよりもマシだと思っていた。

なのに、学年トップクラスの彼女には赤点の時点で五十歩百歩でしょ言われてしまった( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)



「くだらない・つまらない物」をくらべるということを、頭に置いておくと使いやすいですね。

ちょっと、ここで冒頭部分の先生の言葉を思い出してみてください。

先生は、「明日の試合相手は、ウチと五十歩百歩の力だ。気合い入れていくように。」と言いましたよね。

「五十歩百歩」は「くだらない・つまらない物」をくらべる言葉です。

よほど、嫌な人ではない限り自分の教え子のチームをくだらないチームと言わないでしょう。

したがって、使い方を間違えていたということですね。

今回のリーグ戦。AチームとBチームが常にトップ争いをしている。

両チームの実力は五十歩百歩ですから、最後の最後まで結果はわからないでしょう。

なんて使い方も間違いですね。

では、こんな場合どんな言葉を使えばよいのでしょうか。

次に紹介しますので、少しの間考えておいてくださいね。


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まとめ

いかがでしたか?

「五十歩百歩」の意味や語源・使い方をご紹介してきました。

使いやすそうな言葉である「五十歩百歩」すが、「ここではちょっと違うような…」という場合があるはずです。

冒頭での話がそうでしたね。

そんな場合は「同義語」を上手に使いましょう。

「五十歩百歩」の同義語には

  • 団栗(どんぐり)の背(せい)比べ:どれもこれも似たり寄ったりで、抜きん出た者がいないことのたとえ
  • 目糞鼻糞を笑う:自分の欠点には気づかず、他人の似たような欠点を笑うことのたとえ
  • 大同小異(だいどうしょうい):細かい部分にわずかな違いはあるが、おおよそは同じであること
  • 青柿が熟柿(じゅくし)弔(とむら)う:まだ十分に熟していない青いカキが、自分も同じ運命にあることに気付かずに、熟して木から落ちたカキを見て同情すること
  • 似たりよったり:互いに優劣・差異などがほとんどないこと。また、そのさま
  • どっこいどっこい:両者の力・勢いなどが互いに同じ程度で優劣がないさま

など、たくさんあります。

「五十歩百歩」と違い、優れたことに使える言葉もありますので、シュチュエーションに合わせて上手に使い方分けましょう。


ちなみに、冒頭部分の言葉だと「似たりよったり」または「どっこいどっこい」が適した言葉ですね。

同義語ではありませんが、英語のことわざで似たような表現がありますので、合わせてご紹介します。

That’s six of one and half a dozen of the other.
直訳すると、「一方の6つと、もう一方の半ダース。」

このままでは、何だかよく意味が分かりません。

ちょっと解説することにしますね。

同じ6つのものを一方は「6つ」といい、もう一方は「半ダース」と言った。

言い方がちがうだけで同じものを表している。大した違いはない。

ということになります。

外国にもことわざがあることに驚きました。

日本のことわざと外国のことわざをくらべてみるのもおもしろそうですね。


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