「オリンピックのロゴデザインが盗作ではないかと、物議を醸しています」ニュースでこんな言葉を耳にしました。
「物議を醸す」は、わりと良く使われる言葉。
ただ、「物議を醸しだす」だったかな?「物議を呼ぶ」だった気もする…。
など似たような言葉が幾つか思い浮かんできて、どれが正しいのか気になりますね。
そこで今回は、物議を醸すの意味や使い方を紹介していきます!
もちろん、「物議を醸しだす」「物議を呼ぶ」についても説明しますので一緒に見ていきましょう!
物議を醸すの意味・読み方とは?
もう少し詳しく説明すると、「物議」とは人々の間に起こる議論や批判という意味です。
人々の話の「議題」や「噂のたね」と言ったほうが分かりやすいですね。
「醸す」のほうの意味は、ある事態や状況・雰囲気などを作り出す・引き起こすということです。
物議を醸すの語源とは?
では、「物議を醸す」の語源の説明に入りましょう。
まずは「醸す」の説明からはじめますね。
昔は、米を口の中でしっかりと噛みつぶして吐き出したものを、瓶などに蓄えて発酵させてお酒を造ってました。
信じられない程、不衛生ですが(^-^;
しかも、神事でも行われており、噛み潰して吐き出す役目は巫女さんが行っていました。
そして、口の中でしっかりと噛み潰して吐き出す行為を「かむ」といいます。
「かむ」は後に、米・大豆に麹(こうじ)を加えて発酵させて作る醤油を醸造することも指すようになり「醸す」と言われるようになりました。
そこから転じて「作り出す」という意味の言葉になっていきます。
それに議論や批判という意味の「物議」がくっついて、人々の間に議論や批判を作り出しているという意味の慣用句になったのです。
物議を醸すの使い方・例文!
さぁ、意味が分かったところで例文を作っていきましょう。
- ある歌の歌詞が男尊女卑にあたると物議を醸している。
- 先日の世界陸上での写真判定の結果について物議を醸しだしている。
- 先輩の会議での発言が物議を醸しだしている。
「疑問の声が出ている」「問題視されている」といった意味で使われているのが、よくわかりますね。
ちなみに、「物議を呼ぶ」結論から言ってしまえば、ズバリ間違いです。
同じような表現の「議論を呼ぶ」と間違えていますね。
そして、「物議を醸しだす」については、「醸す」と「醸しだす」とは非常に微妙なニュアンスの違い。
「醸しだす」は、雰囲気・気分・感じなど曖昧な事を表現するのに使う言葉。
いつの間にか○○していた・気が付いたら○○していた などやんわりと表現したいときに使うとしっくりきます。
わかりやすい様に「醸しだす」を使った例文で見てみると、
- 鹿威し(ししおどし)の音は和やかな雰囲気を醸しだしている。
- 彼は一人でいるのが好きなのか「話しかけないでくれ」といった雰囲気を醸しだしている。
それに対し「醸す」は状況・雰囲気などを作り出す・引き起こすといった、はっきりとした状況を表す言葉なので意味が違ってきます。
さて、「物議を醸しだす」がはたして正しいのか間違っているのか…
「動詞」+「しだす」から成り立っている「醸しだす」という表現方法も間違ってはいません。
しかし、「物議を醸しだす」では「疑問の声が出始める」といった意味になり本来の意味では無くなってしまいます。
「物議を醸す」は慣用句でありこれで一つの意味を持つ言葉。
従って「物議を醸しだす」は言葉として正しいが、慣用句として使うのであれば間違っているという事です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
良く使う言葉だけに、勘違いして覚えていることも多いですね。
しかも、今回は慣用句としては間違いではあるが、言葉としては間違いでは無いという、ややこしいものが出てきました。
実際は「今から慣用句を使います」なんて言ってから話す人なんていません。
なのでその言葉が合っているか間違えているかは、前後の話の流れから読み取るしかありませんね。
「物議を醸す」のほかにも、こういった慣用句があるかもしれません。
また、新たな疑問が生まれたので近々調べてみようと思います!
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