ことわざは、ある状況を何かの場面に例えた言い回しとして、日常生活においてたびたび見かけます。
言葉をそのままの意味で理解すると「?」と思ってしまいそうですが、何かの場面に例えているのだと思いながら見てみると言葉の意味が理解できるものです。
さて、今回は「爪の垢を煎じて飲む」ということわざについて。
一見すると「はたしてどんな状況なのだろうか?」などと思ってしまいそうなほどインパクトのある言葉ですよね。
それでは、まずは爪の垢を煎じて飲むの意味や読み方から見ていきましょう!
爪の垢を煎じて飲むの意味・読み方とは?
文字通りの意味としても使えるでしょうが、実際にその行為をしようとすると周りから止められること間違いなし(笑)
さて、ここで疑問が一つ。
この言葉は、どのようにしてこのような解釈へとつながったのでしょうか?
それを知るには、言葉の語源を調べてみましょう。
爪の垢を煎じて飲むの語源とは?
まずは、それぞれの言葉の意味を一つ一つ見ていきましょう。
「垢」は「皮膚の上にある汚れ」のことですし「煎じる」は「煮る、成分を抽出する」という意味になります。
ですので、全体としては「例え爪の垢のように少量で汚いものだとしても、すぐれた人に少しでも似ようとするのであれば、その人の爪の垢を煎じて飲んでみる」ということになります。
もちろん、例え話なので実際には「その人の言動をまねて、少しでもその人の実力にあやかりたい」ということを指している、ということにはご注意を^^
この言葉を自分に使う場合は、自分もそうなりたいという「願望」
他の人に使う場合は、あの人を見習いなさいという「叱咤激励」としてとらえることができるでしょう。
また「煎じる」という言葉は「薬草などを煮出して、その成分を抽出する」という意味も含まれますので、もしかしたら昔の人は本当に「爪の垢」に対して、薬としての効果を期待して煎じて飲んでいたのかも(;´Д`)
あまり想像したくないですけどね…。
とはいえ「爪の垢を煎じて飲む」ことは「とても大変なこと」という例えで「それくらいの努力をしないとその人には追い付けないよ」という「諭す」意味合いで使われることが多いですね。
爪の垢を煎じて飲むの使い方・例文
爪の垢を煎じて飲むの使い方ですが、注意点は「自分の爪の垢」ではなく、誰か目標としている人の垢だということです。
自分がレベルアップしたいから、修行として自分の垢を飲むということではないということ。
あくまでもその人に「あやかりたい」という意味合いで使います。
また、「爪の垢を飲む」や「爪を煎じて飲む」ではなく「爪の垢を煎じて飲む」という言葉でセットとなります。
一部分が抜けてしまうと全く別な意味となってしまう可能性がありますので注意が必要。
ここで例文を見てみましょう。
例えば、営業成績の良い先輩社員がいるなか、あまり成績の良くない私は「なかなかうまいこといかないなぁ」などと思い悩むこともあるでしょう。
そんな時は「先輩の爪の垢を煎じて飲みたいくらいですよー。」などと愚痴ってしまう場面もありそうです。
また、その思い悩む場面を見ていた上司から「○○(先輩)の爪の垢を煎じて飲んだらどうだ!」というお叱りが飛んでくるかもしれません。
前述のように、自分に対して使う場合は、その先輩社員にあやかりたいという「願望」
他の人に使う場合は、まだまだ未熟な私に対しての「叱咤激励」という意味が見て取れるのではないでしょうか。
他にも、勉強ができると評判の子をもつ親とばったり会った時。
「勉強が嫌いな我が子」を引き合いに出し「うちの子にも(その勉強ができる子の)爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだわ。」などという使い方もできるでしょう。
この場合は「へりくだる」という謙遜の意味合いも含まれているみたいですね。
英語表現についても見てみます。
- to take a lesson from~
- to follow in the footsteps of~
直訳すれば、前者は「~からレッスンを受ける」後者は「~の歩みに続く」となります。
どちらも「~の爪の垢を煎じて飲む」という意味であることが理解できるかと思います。
まとめ
いかがでしたか。「爪の垢を煎じて飲む」の意味や使い方について見てきました。
この言葉を直接的な意味で取ってしまうと、気持ちの悪い表現というふうにとらえてしまいがちです。
しかし、意味はこれまで見てきた通りですので、言い換えるならば「あとに続く」「模倣する」などの表現もできるでしょう。
もちろん、実際に「爪の垢を煎じて飲む」という行為はおすすめめしませんが、誰かあこがれの人に少しでも近づきたい、追い付きたいのであれば「爪の垢を煎じて飲む」くらいの努力が必要になってくるのかもしれませんね。
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