外出先から帰ってきた同僚が、ひどく不機嫌で険しい表情を浮かべていました。
理由を聞くと、自信のあった取引先との契約がどうやら断られた様子。
「だからそんな表情をしていたんだね」と納得しましたが、あの時の表情は今でも鮮明に覚えています。
1つの例文から始まりましたが、このような経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ひどく落ち込んで何とも言えないような表情が目に浮かぶことと思います。
では、あの時の表情をうまく説明する言葉はあるものでしょうか。
今回は、苦虫を噛み潰したような顔の意味や使い方を紹介します!
「苦虫を噛み潰したような顔」の意味・読み方とは?
例えば「苦虫を噛み潰したような顔」という言葉。
さて、ここで気になるのは「苦虫」の存在。
次の章では虫眼鏡を使ってじっくりと観察してみたいと思います。
「苦虫を噛み潰したような顔」の語源とは?
と、張り切って「苦虫」を探してみたのですが、どうやら存在しない様子。
実在しない虫ですが、あなたの中で噛んだら「苦そうな虫」を具体的に思い浮かべてもらうと良いですね^^
具体的な名前は伏せますが、それをただ「噛む」だけではなく「噛み潰す」のですから、想像するに恐ろしい表現と言えます。
実際に「噛み潰した」人がいたかは分かりませんが、TV背筋がゾクゾクっとするほどインパクトがある言葉ですよね。
その時の表情が不愉快や不機嫌を表す顔に似ているので、このような状況を表す言葉として「苦虫を噛み潰したよう」が使われるようになったのでしょう。
ちなみに虫を使った慣用句に「虫唾が走る」や「虫の知らせ」なども挙げられます。
これらの「虫」も具体的な種類を示すというよりは、一般的に「虫」というものを指しているのではないでしょうか。
虫を使った慣用句は、表情など人の気持ちを表す場合にも見ることができるので、このような表現が出来上がったかも知れませんね。
「苦虫を噛み潰したような顔」の使い方・例文
では実際にどのような場面で使われるのが良いのか、例文を交えながら見ていきましょう!
冒頭部の例のように「不快感」や「不満」などを表す時に使われることが多いですね。
- 部屋に入ってきた同僚は「苦虫を噛み潰したような顔」をしていた。
- 父は「苦虫を噛み潰したような顔」で私の話を黙って聞いていた。
などのような使われ方ができます。
見るからに不機嫌な様子が伝わってきそうですね。
深い悲しみや苦しみを表す場面で使われることが多いでしょう。
例えば、自分が座っていて何か棚の上にあるものを取ろうとした場合。
「あともう少しで届くのに・・・」などという場合は、あまりこの表現は使われません。
しかし、普段使ってないところを伸ばしすぎて、筋肉が「つって」しまい苦痛の表情を浮かべているような場面では「苦虫を噛み潰したような顔」という表現が当てはまりそうです。
「タンスの角に小指」や「いすの脚にすね」など日常生活でも、十分に苦虫を噛み潰す危険性はあるようですね。
では、ここで間違えやすい例も紹介します。
「話を噛み砕いて理解する」というように「噛み砕く」という言葉もありますが、「苦虫を噛み潰したような」が正しい使い方となりますので、混同しないように注意が必要!
また、似たような表現としては「苦渋の表情」「眉間にしわ」「憮然とした」などが挙げられるますね。
これらも不快感を表す時に使われる表現。
人の表情や気持ちを表す言葉には、種類がたくさんあるものです。
それぞれの意味を、しっかりと理解して正しい使い分けができるようになりましょう。
まとめ
いかがでしたか。
「苦虫を噛み潰すような顔」について、苦虫を探す旅から状況に合わせた使い方について触れてきました。
仮に噛み潰したとしたら、とても苦そうなものが口の中にずっと残っている時の表情という理解になると思います。
と同時に身体的に見れば苦痛を表す言葉、心情的には不平や不満、不愉快であるさまを表す時に用いられる言葉ですね。
しかし、表面的で薄っぺらいような場合ではなく、どちらかというともっと深い感情を含んだもの。
ですので「苦虫を噛み潰したような顔」は、ちょっとやそっとではあまりお目にかかれない顔である!
願わくば、あなたがこの文章を読んで「苦虫を噛み潰した顔」にならないことを願いながら、そっとパソコンを閉じたいと思います。
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