TVでコメンテーターが、ある人に対して「人の風上にも置けないやつだ。」と猛烈に批判している姿を見たことはありませんか?
なにやらとても怒っているようですが…
このような場面で使われる「風上にも置けない」という言葉。
なんとなく意味は分かりますが「そもそもなぜ風上なの?」「風下じゃなかったっけ?」などと疑問に感じてしまうこともありますよね。
そこで、今回は「風上にも置けない」の意味や使い方を、もう少し掘り下げて見ていきたいと思います。
風上にも置けないの意味・読み方とは?
その人のやったことがとても許せるレベルではなく、それを非難する場合に使う言葉なのですね。
また「風上にも置けない」には「仲間としては到底扱うことができないほど卑劣」という意味合いも含まれます。
ですので「人の風上にも置けない」と使った場合は「同じ人間として、仲間であるとは思えない!」と思ってしまうほどの強い怒りを表すことになります。
それほどまでに怒らせてしまうのですから、よっぽどひどいことをしたのでしょう。
では、そういった行為を非難する場合、なぜ「風上にも置けない」というのでしょうか?
風上にも置けないの語源とは?
「風上にも置けない」の語源は「風上に悪臭を発するものがあれば、風下では臭くて困る」ことからきているとされています。
確かに、悪臭を放つものから離れていたとしても、臭いが風に乗ってこちらのほうへやってくるのは困ってしまいますよね。
「風下にも風上にも置けないなんて、じゃあ一体どうすりゃいいの!」という叫びが聞こえてきそうですが、そこまでに体が拒否反応を示していることの例えなのでしょう。
また、この言葉の解釈は人によって分かれることもあるようで「風下にも置けない」が正しい言い方なのではないか、という議論もちらほら。
しかし、確認する限りでは「風下にも置けない」という表現は、辞書には載っていません。
「卑劣な者を批判すること」を表す場合は「風上にも置けない」を使いましょう。
風上にも置けないの使い方・例文!
では、使い方を見てみます。
この言葉は「人の風上にも置けない」のように「○○の風上にも置けない」というかたちで使われることが多いです。
意味は「○○としては到底扱うことができない」ということを表していましたね。
それを踏まえながら「風上にも置けない」を使った例文を見てみましょう。
例えば、会社に大損害を与えてしまうほどの失敗をしてしまった時。
「そんなことをするなんて、君はわが社の風上にも置けんやつだな!」というあきらめにも近い声が聞こえてくるかもしれません。
「同じ会社の仲間として見ることができない」という意味合いも見て取れるでしょう。
また、ごはんを扱うメーカーに働いている中で「朝ご飯はいつもパンしか食べません。」と言った場合は「お前、風上にも置けないな。」とツッコミが飛んでくるかもしれません。
同じように、○○のファン同士の交流の場でも「違う芸能人が好き」と言ったことに対して「○○ファンの風上にも置けないやつだ」という使われ方もできます。
軽く、冗談っぽく使われることもあるでしょうが、本来は「その行動の卑劣さをののしったり、痛烈に非難したりする」ということ。
こちらは軽い意味で使ったつもりでも、相手が本来の意味と取れば、大きな争いに発展する可能性もあります。
ですので、例え職場で使うとしても、あまり目上の人には使わないほうが良い言葉とも言えるでしょう。
仮に、何かミスをした上司に対して「風上にも置けないっすねぇ。」などと言った日には…
想像するに恐ろしいです(;・∀・)
日頃から冗談を言い合えるくらいなら大丈夫でしょうが、そうでないなら同僚か後輩程度に留めておいたほうが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
「風上にも置けない」の意味や語源などについて見てきました。
「風上にも置けない」は「卑劣な行動をした人に対してののしった言葉」であり「例え風上に置いたとしても、臭いは風に乗って風下のほうへやってくる」ことに由来した言葉である、と理解できたかと思います。
「同じ仲間として扱うなんて絶対に無理!」と思ってしまうほど痛烈な批判を含んだ言葉でしたね。
ちなみに、英語表現では
- He is not to be treated as a gentleman.(人の風上にも置けないやつだ)
- He is a disgrace to the art world.(美術界の風上にも置けないやつだ)
このように表されます。
補足しますと「treat(ed)」は「扱う」「disgrace」は「不名誉」を表す単語です。
英語でも同じようなニュアンスで使われるのですね。
このように「風上にも置けない」という言葉は、できれば人から言われたくない言葉。
「風上にも置けない」という言葉を使う際には、そういった言葉であるという認識をもって、使う相手を選ぶ必要があるでしょう。
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