あなたは何か取り返しのつかないことをしてしまったときに、どんな言葉を思い出しますか?


覆水盆に返らず


「覆水盆にかえらず」
「後悔先に立たず」
「あとの祭り」

などなど、同じような意味のことわざは意外に多いです。

「同じような意味だから、どれでもいいや!」なんて思っても、実際にはどんな場面で使われるかで変わってきます。

そこで今回は、「覆水盆に返らず」の意味や語源・使い方をご紹介していきます。

例文も交えながらご紹介していきますので、しっかり学んで上手に使ってくださいね。



覆水盆に返らずの意味・読み方!


「覆水盆に返らず」「ふくすいぼんにかえらず」と読みます。

意味は

  • 一度離婚した夫婦は元に戻らない。
  • 一度おこってしまったことは元に戻すことはできない。
  • やってしまったことは元には戻らない。

です。



覆水収め難し、覆水不返(ふくすいふへん)とも言われます。

漢字は「腹水」ではなく、「覆水」です。

あなたも、パソコンやスマホで検索したときに、「ふくすい」を変換した際に「腹水」のほうが先に出てきたんじゃないでしょうか。

でも「腹水」は誤表記ですから、間違えないように注意してくださいね。


では「覆水盆に返らず」の意味をより深く理解するために、単語ごとに区切って意味を説明しますね。

「覆水」とは、器からこぼれてしまった水・溢(あふ)れてしまった水のことです。 

「盆」は、おぼんの事ですが、ここでは「トレイ」よりも少し深めのお盆、そう「菓子盆」のようなものを想像してください。

トレイではほとんど水が入りませんからね(^_^;)


「返らず」は「返る」の否定形。

「返る」にはたくさんの意味がありますが、この場合は一度変化したものが前やもとの状態になるということ。

この否定形ですので、元の状態にはならない・元には戻らないです。

全ての単語の意味をあわせると、「お盆からこぼれてしまった水は元には戻らない。」となります。


こんなあたりまえのことが、ことわざになるってなんだか不思議ですね。

その、不思議を解決するために語源・由来を見ていくことにしましょう。


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覆水盆に返らずの語源・由来とは?

「覆水盆に返らず」の語源をたどると、中国へと行き着きます。

中国が「周(しゅう 紀元前1046年頃 – 紀元前256年)」と呼ばれていた古代のお話です。

周の重臣に((重要な職務にある臣下)太公望(たいこうぼう)という人がいました。

釣り師の代名詞として使われる人なので、釣り好きの方はご存じかもしれませんね。

太公望は本好きで、本ばかり読み仕事をあまりしませんでした。

それに呆れかえった妻が離婚を申し出て離婚したのですが、後々、太公望が出世をすることになります。

元夫の出世を知った昔の妻から、復縁を迫られた際の事です。

太公望は、お盆に水を入れて持ってきました。

そして、わざとその水をこぼし「この水全てをお盆に戻すことができたなら、おまえと復縁してやろう。」と言ったのです。

もちろん、そんなことは無理に決まっていますよね。

それを見た太公望が「一度、お盆からこぼれた水をすべて元に戻すことは不可能だ。それと同じでお前との復縁も不可能なことだ。」と、こんなふうな言葉を浴びせ復縁を拒絶したそうです。

そこから「一度離婚した夫婦は元に戻らない。」という意味になったのです。

これが転じて「一度おこってしまったこと・やってしまったことは元には戻らない」という意味になりました。



「語源」つながりでこんなお話も紹介しましょう。

英語で「覆水盆に返らず」と意訳される言葉があります。

It is no use crying over spilt milk.
直訳すれば「こぼれてしまったミルクについて嘆いても無駄だ。」です。

色々なサイトでもこちらが英語で表現された「覆水盆に返らず」だと紹介されています。

しかし「器から液体がこぼれた」という状態はよく似ていますが何だか違和感を感じますよね。

盆に入った水は「故意に」こぼしています。

ミルクは「偶発的に」こぼしてしまっています。あきらかに違う状況ですよね。

気になったのでアメリカ人の友人に聞いてみると…

「搾ったミルクをバケツに入れて運んでいる途中にこぼしてしまった。しかしそれをなげいて泣いてももう今更どうしようもないじゃないか。」というのが語源であり、「やってしまったことを嘆いても仕方がない。次行こう次!」というポジティブシンキングな考え方を教えていることわざだという事でした。

どちらかというと「終わったことは終わったこと」という意味のWhat’s done is done. が、「覆水盆に返らず」に近いそうですよ。


覆水盆に返らず

覆水盆に返らずの使い方・例文!

「覆水盆に返らず」の意味や語源を理解したところで、次は実際使うことを想定しながら例文を作っていきましょう。

明日のプレゼンに間に合わそうと一生懸命に作っていた企画書。

データを保存する前にノートパソコンのバッテリーが切れてしまった。

覆水盆に返らずとは、まさにこの事だ( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)


子どもの頃からの大親友だったのに、ついうっかりと彼の秘密を別の友人に話してしまった。

覆水盆に返らずとは言うが、何とかして信頼を取り戻したいものだ。


僕が中学生のころに離婚してしまった両親。

父は母に復縁を…と、連絡をとっているようだ。しかし母は断固として拒んでいる。

そりゃあ、あれだけ暴力を振るわれたら、いくら改心したと舌先三寸にしか聞こえないようなことを
言われても復縁しようとは思わないだろう。

覆水盆に返らずだよ。父よ諦めてくれ。



どうでしょうか。場面は想像出来ましたか?

・取り返しのつかない事をしてしまったとき
・元には戻せないような事態に陥ったとき

そんなときに「覆水盆に返らず」を思い出してぜひ使って見てください。

あまり起こってほしくはないですが(^_^;)


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まとめ

いかがでしたか?

「覆水盆に返らず」の意味や語源・使い方をみてきました。

冒頭で登場したふたつの同義語の意味も気になりますよね。

他の同義語も交えて、改めてご紹介しましょう。

やってしまって仕方がないとはいえ、こんなことばかりでは落ち込んでしまいますよね。


また、「覆水盆に返らず」なんて事態が起こらないように、これらの言葉を是非とも覚えておいて実践して下さい。

    備えあれば憂い(うれい)なし:常日頃から準備をしっかりとしていれば、突然何かが起こっても心配することはないこと。
    転ばぬ先の杖:失敗しないよう前もって準備しておく。
    濡れぬ先の傘:失敗しないよう前もって準備しておく。

きっと、あわてたり諦めたりしなくて済むはずですよ。


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