「「敵に塩を送る」って良いことと思う?悪いこと思う?」ママ友が突然聞いてきました。
なんでもスポーツニュースで相撲の結果を見ているときに、「A山関は、B山関の傷めている足を攻めようとはせず結果、黒星。これは敵に塩を送ってしまいましたね。」とアナウンサーが言っていたのが気になったのだとか。
日常では使うことは少ないけれど、スポーツやビジネスの世界では良く使われる言葉「敵に塩を送る」
「なんとなく…」ではなく「正しい意味 」を知らない言葉のひとつなんじゃないでしょうか。
言葉の雰囲気から「傷口に塩をすり込む」に近いかな?と思った人もいるかもしれませんよね。
というわけで、今回は「敵に塩を送る」の意味だけではなく、より記憶に残りやすいように語源や使い方もあわせて紹介します!
まずは意味と読み方から、一緒にみていきましょう。
敵に塩を送るの意味・読み方!
対立する相手が困っているときに、それにつけ込んでやっつけようとするのではなく、あえて援助をする。
なんだか、カッコイイ言葉ですね。
しかし、なぜ援助することが塩を送るなのでしょうか?
そんな疑問を解決するために、次は語源をみてみましょう。
敵に塩を送るの語源・由来とは?
「敵に塩を送る」の語源は日本史にあります。
「塩止め」についての逸話を紹介したいのですがちょっとわかりにくいので、今回は少しでも分かりやすい形で説明しますね^^
という流れの逸話が「敵に塩を送る」の語源といわれています。
あれ、武田家の敵は今川家・北条家じゃなかった?上杉家って今は、関係ないんじゃないの?とと、あなたは思われたんじゃないでしょうか。
確かに「今」は直接対決をしているわけではありません。
しかし武田信玄と上杉謙信の両雄はこれまでに何度も合戦を繰り返しており、長年敵対する間柄だったのです。
そんな間柄にもかかわらず、上杉謙信は「命に関わる塩を止めるとは卑怯だ」と領民たちの窮状を見過ごすことができなかったのですから、さすが「義」を重んじるといわれるだけのことはありますね。
と、逸話では美談になっているのですが…事実は違います( ゚Д゚)
上杉謙信は、武田信玄に塩をプレゼントしたわけでではないんです!
越後(新潟県)の塩を売っていた商人たちを甲斐まで商売に行かせただけ。
しかも、相場よりも高い価格で塩を売るという商魂によるものだったのです!
「塩止め」に関しては、上杉謙信にとっては武田信玄の自業自得に過ぎない出来事のひとつ。
決して、武田信玄を救おうとしたのではなく儲けようとしただけの話なのです。
それが、美談として伝わってしまったのです。
まぁ、たとえそうだとしても、武田家が上杉家に助けられたという事実は変わらないのですけどね。
その証拠に武田信玄が塩を送ってもらったことに感謝して、刀を一振り贈ったといわれています。
これは重要文化財に指定され、通称「塩留めの太刀(たち)」と呼ばれているんですよ。
敵に塩を送るの使い方・例文!
さて意味と語源を理解したところで、次は例文を作っていくことにしましょう。
「敵に塩を送る」冒頭でもお話しましたがスポーツやビジネスの世界でよく使う言葉ですね。
ところで、あなたは「敵に塩を送る」行動をどう思いますか?
真剣勝負の世界なのですから、「何を甘いことを。」「きれい事言って。」なんて考えの人もいるのではないでしょうか。
しかし「敵に塩を送る」という行為は情けをかけるためや救うためなのではなく、相手とフェアな勝負を望んでいるからだという考え方もありますよね。
そう考えると「敵に塩を送る」すごく、粋な言葉ですね。
まとめ
いかがでしたか。
「敵に塩を送る」の意味や語源・使い方をみてきました。
ここでちょっと「塩」のお話をしますね。
現代では当たり前のように家庭に塩がありますが、昔はそうではなかったんですよ。
人間が生きていくうえで欠かせない「塩」。ミネラル不足で神経が侵されるなんてこともあるそうですからとても大切なものですね。
岩塩がほとんどない日本では、昔は塩田を開きそこで塩を精製していたのです。
塩田とは大量の海水から水分だけを蒸発させ、塩を取り出すために用いられる場所および施設のことです。
と、いうことは沿岸部にしか田園を作ることはできません。
では、沿岸部以外の人たちはどのようにして塩を手にいれていたのでしょうか。
そこで出来たのが塩の産地より塩を運んでもらうための「塩の道」とよばれるルートです。
その「塩の道」を通ってやってきた塩と山間部の特産物とを交換して塩を得ていたのです。
また、「塩の日」というものも存在するんですよ。
1月11日なのですが、実はこの日が上杉謙信から武田信玄へと送った塩が到着した日といわれています 。
語源を知ったおかげで別のものの元ネタまで、す~っと入ってきましたね、
こうして、小さな繋がりをたどって慣用句やことわざを調べていく。
そんな調べかたも楽しんじゃないでしょうか。
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