あるとき後輩社員が先輩に「簡単に明日から営業成績が上がる方法ってありませんかね?」と相談。
すると先輩は「努力もせずに結果が欲しいだなんて、そうは問屋が卸さないだろ」と…。
こんな場面で耳にすることもある「そうは問屋が卸さない」という言葉。
意味を知っていればその後の会話もスムーズに運ぶのでしょうが、分からないとなんだかモヤモヤっとした感じになってしまいそう。
そこで今回は、「そうは問屋が卸さない」について意味や語源、使い方などに触れながら紹介しますね!
そうは問屋が卸さないの意味・読み方は?
言い換えれば「そう簡単にいかない」「そんなに甘いものではない」のようなニュアンスを含んだ言葉です。
冒頭部の例で先輩は、「努力なしに結果を出そうだなんてそう簡単にはいかないよ」と諭す意味合いで使っていたのですね。
「そうは問屋が卸さない」の意味はこのようになるのですが、そもそも「問屋」とは何のことなのでしょうか。
もう少し詳しく見ていきましょう。
そうは問屋が卸さないの語源とは?
まずは「問屋」の説明です。
「問屋」とは、「商品を買い入れ、それを小売店などに卸売りする業者」のこと
生産者から私たち消費者に商品が届くまでの仲介をしている業者ということですね。
例えば、小売店側がとても安い値段で問屋に「商品を売ってくれ」と言ったらどうなるでしょうか。
おそらく「そんな安い値段では売れない」と断るのではないでしょうか。
小売店側は当然この値段でも売ってくれるものだと思っていたのですが、問屋は「そんな安い値段ではこちらは売ることはできない(卸さない)」
そこから「相手の望みどおりに物事は運ぶものではない」ということを表す場面で「そうは問屋が卸さない」と使われるようになりました。
ことわざや慣用句は意味だけを丸暗記するより、語源などを含めて知っておくとより深い理解へとつながりますので一緒に抑えておきたいですね。
ところで、この言葉は意外に間違った使われ方がされるみたいです。
文化庁が発表する平成 27 年度「国語に関する世論調査」において「そんなに思いどおりになるものではないこと」を表すときどのような慣用句を使うかと聞いたところ、23.6%の人が「そうは問屋が許さない」を選んだという結果が。
「許さない」でもなんとなく意味は通じるように思えますが、本来の言い方は「そうは問屋が卸さない」です。
間違えて覚えないように気をつけましょう。
そうは問屋が卸さないの使い方・例文!
それでは「そうは問屋が卸さない」を使った例文を紹介してみたいと思います。
この言葉の意味は「そう簡単には思いどおりにはならない」でしたね。
例えば相手をだまそうとしたけれども向こうのほうが一枚上手だった場面を見てみましょう。
遠くのほうから歩いてくる友人を見かけたので驚かせてやろうといたずらをすることに。
曲がり角に隠れて今か今かと待ち構えていたのですが、突然友人から「そんなとこに隠れてどうしたの?」との声が。
「どうして分かったの?」と尋ねてみたら…、どうやら影が見えてしまっていたようです。
そんな場面では「驚かせようとしたってそうは問屋が卸さないよ」って使えますね
次にスポーツ観戦の場面。
ひいきにしているチームが1点差を追う緊迫した試合展開。
そこで相手チームは満を持して抑えのエースを投入。
このまま終わるのかと思いきや、逆転ホームランが飛び出しました。
逆転したチームを応援していたファンは口々に「○○を抑えようだなんてそうは問屋が卸さないよ」と。
今頃祝杯を挙げていることでしょう。
または自分に使う場面。
自分の中ではできると思っていたことが、見込みが甘すぎて上手く結果につながらなかったとき、「そうは問屋が卸さないよな。」とため息交じりに反省したり後悔したり…
このような場面で使うことができます。
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まとめ
いかがでしたか。
「そうは問屋が卸さない」の意味や語源などについて進めてきました。
おさらいしますと、「そんなに安い金額では問屋は卸してくれない」ことに由来する言葉で「思い通りにいくと思っていたことが結果に結び付かなかった」という場面で使われることわざであると理解いただけたのではないでしょうか。
また間違いやすい言葉でもありますので注意が必要です。
では最後に英語の表現について触れてみたいと思います。
- that is expecting too much
- things don’t work that well in the real world
他にも「そうは問屋が卸さない」と似た意味を持つ表現として
- roast geese don’t come flying into the mouse
この訳は「焼き鳥は口の中に飛び込んでこない」となります。
たしかに、何もしていないのに焼き鳥が向こうから勝手に口の中へ飛び込んでくることってないですよね。
思わず納得してしまいそうなほどうまい表現だと思ってしまいました。
日本語でも英語でも何かの場面に例えた言い回しというものはあるものなのですね。
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