刑事ドラマを見ていると、犯人が「あいつを口車に乗せて連れ出すのは簡単だった!」と主人公の刑事に向かって自白するシーン。

または、被害者が「あの人が私の代わりに仕事をしてくれると言うから…それであの人の口車に乗ってしまったんです…」と告白するシーン。


口車に乗る


それぞれドラマでよく聞くセリフですね。あなたも聞いたことあるのではないしょうか?

しかし、良く考えると口車とはどんな車なんでしょうか?

「乗る」と「乗せる」の二つの違いはどこにあるのか…。

そこで今回は、口車に乗るの意味や使い方について紹介します!

普段は使わないだろうと思っていても、いざ使うとなると意味を知らないままでは、相手が誤解するかもしれませんよ。

そうなる前に「口車に乗る」を調べてみましょう!


口車に乗るの意味・読み方は?


「くちぐるまにのる」と読みます。

意味は①言葉巧みに言われてだまされること。②おだてに乗ること



話し方がとてもじょうずで、相手の言っていることを信じて騙されてしまうことをいいます。

「口車に乗る」は信じて騙された人、つまり詐欺の被害者

また、「口車に乗せる」とは言葉巧みに相手をだますことを意味します。

「乗る」の逆は「乗せる」。

意味合いも相まって詐欺の加害者(犯人)となりますね。


乗ると乗せる、被害者と加害者…意味も言葉も対義語になっていて面白いですね!

ところで「口車」とは何か、語源を調べてみましょう。


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口車に乗るの語源とは?

「口車」とは、相手をおだてたり、騙したりすること。上手な話し方をいいます。

同じ意味の言葉に「口先」「言葉巧み」「言葉を飾る」「舌先三寸」などがあります。

どれも「口」を連想させる言葉が使われていますね。

口は食べ物や飲み物を摂取する時、最初に身体の中に入る消化器官であり、呼吸や会話をする重要な器官です。

ただ、息や会話は目に見えるものではないですよね?

実は、古代の人たちは目に見えない息や言葉には心や魂が宿っていると考えました。

そのため「口」は神聖なものであり、生命維持に必要な重要な部位


次に漢字の「車」を調べてみると、「車」は自動車や人力車、荷馬車などの乗り物全般を意味するほかに、自動車を動かす車輪を意味します。

地面に置いた重い荷物を移動させようと、押したり引いたりしてもびくともしなくて困ったという経験があなたにもありますよね。

ところが車輪を使うと簡単に荷物を動かすことができるんです!

口と車の二つを合わせて、言葉が次から次へと出てくる様子をまるで車輪のように動いている様子に例えて「口車」が生まれました


口車に乗せる

口車に乗るの使い方・例文

ここまで口車に「乗る」と「乗せる」の違いが理解できたと思います。

次に「口車に乗る」の使い方・例文を見てみましょう!

  • 相手の嘘を信じている場合
  • 真っ青な顔で銀行に駆け込んできたお客様から詳しく事情を聴いてみたところ、息子さんから交通事故を起こしてしまったから、相手の治療費を立替えてほしいと電話で言われたそうだ。

    この話を聞いて、私は口車に乗っていると感じた。

    この場合は、第三者が相手の嘘を見抜いている時に使います。

  • 相手の嘘に気づいた場合
  • 店員が「お客様にはピアスの他にこちらのネックレスと合わせてお使いいただく方がお似合いです。この色のドレスとこのジュエリーの組み合わせでお似合いの方は滅多にいませんよ。パーティーで一層エレガントに映えます。」

    こうして店員の口車に乗って、予算オーバーのドレスとジュエリーをセットで買ってしまった。

    相手の嘘に騙されたことに、気付いた時に使います。

    嘘に気づいてしまった自分への怒りや後悔などの感情の表現できますね。

  • 相手の嘘に騙されたふりをする場合
  • 夫の上司を名乗る男から「旦那さんが会社のお金を横領していた。刑事沙汰にしない代わりに現金を用意しなさい。部下の者に取りに行かせる」という電話がかかってきた。

    私は相手の口車に乗ったふりをして警察に電話を掛けた。

    文章に相手の嘘に気づいていること書くことがポイントです。



次に英文での使い方をご説明します。

相手の嘘やおだてのことを日本語で「甘言」、「甘い言葉」。

英語ではsweet-talked 、sugar coated wordsと訳します。

これらにinto(前置詞)(~に、~へ)をつけてShe was sweet-talked into believing him.(彼女は彼の甘言を信じてしまった。)


また、単語でwheedle(動詞)(言葉巧みに騙す、言葉巧みに~をさせる)があります。

wheedleを使うと【口車に乗る】も口車に乗せるも両方を表現できますね。

例えば、

  • 口車に乗る
  • He wheedled the money out of me .(彼は私を騙してそのお金を巻き上げた。)

  • 口車に乗せる
  • He wheedled some money out of the old man.(彼はおじさんを言葉巧みに騙して金を巻き上げた。)

    同じ単語でも自分が騙されたことに使うと「口車に乗る」と表現できます。


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    まとめ

    「口車に乗る」の類義語をご紹介します。

    • 悪意を持った人に騙される
    • 「はめられる」、「一杯食わされる」、「のせられる」、「かつがれる」、「ペテンにかけられる」、「カモられる」など

    • おだてに乗る
    • 「煽てと畚には乗るな」などがあります。



    ちなみに、「口車に乗る」とほかの慣用句を混ぜた造語もあるんですよ!

    「馬に乗るとも口車に乗るな」:これは「馬に乗る」と「口車に乗る」を掛けたことわざで、意味は「うまい話や巧みな言葉にうっかり乗ると、ひどい目にあうから気をつけろ」という戒めで使います。


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